(つま)霧島神社

都城市高崎町東霧島1560(平成21年1月6日)

東経131度3分53.1秒、北緯31度50分26.93秒に鎮座。

 この神社は東高崎駅の北西約700mに鎮座しています。入口の大きな両部鳥居を潜り、80m程真っ直ぐな参道を行くと、参道は90度右に曲がり北に向きを変えます。お札所を過ぎると行く手には大きな鎮守の杜。その手前には神橋が架かり、左手には有名な「神石(割裂神石)」が水の中に見事な切断面を見せて立っています。
 その右手には境内社の荒神神社、龍神社、伊弉冉神社が祀られ、参道突き当たりには樹齢1000年を越す楠の巨木や、樹齢約410年のご神木・大杉が聳えています。大楠の根本は空洞になっており、本殿参拝が無理な身重の婦人が伊弉冉神社に参拝後この楠を右に三回左に三回巡って祈願し、故有谷の乳水を飲んで帰れば安産間違いなし…という信仰があるそうです。
 参道突き当たり左には二の鳥居が建ち、そこからは鬼が一晩で積み上げたと云い伝えの残る有名な鬼岩階段が参道となりますが、神門手前の石段は特に急勾配で、如何にも「夜が白々と明けてきたので鬼が急いで積み上げた」という伝説が残るのも肯ける石組みです。
 境内には大きく荘厳な社殿内に天狗面や薩摩藩二代藩主・島津家久公により奉納された神輿が飾られ、社殿左右には愛宕神社、白髭神社などが祀られています。又、ここにも大きな御神石が有りました。

 御祭神:伊弉諾尊、 合殿:伊弉冉尊、神日本磐余彦尊(神武天皇)、瓊々杵尊、木花開耶姫命、彦火火出見尊、豊玉姫命、葺不合尊、玉依姫命
 祭礼日:1月1日・元旦祭 、1月7日・七歳祝祭、2月3日・節分祭、2月11日・紀元祭、2月17日・祈年祭、3月21日・例大祭 お浜下り 八幡行祠往復・奉納舞 、6月30日・大祓式 茅輪神事、7月11日・御田祭・六月灯、11月23日・新嘗祭 五穀豊穣・商売祭 奉納舞、12月31日・大祓祭 火祭
 境内社:荒神神社、龍神社、伊弉冉神社、猿田彦神社、大国主命社、霧島の大神社、愛宕神社、白髭神社
 由緒:第五代孝昭天王の頃創建されたという伝承があります。その後応和3年(963)性空上人が霧島六所権現東御在所としました。(境内案内板より)
 文歴元年12月(1234)には霧島神社等が霧島山の噴火で焼失し、一時長尾山(現東霧島神社)に遷座していましたが、文明16年(1484)、東西に分けられ東御在所が霧島東神社、西御在所が霧島神宮として建立されました。元和元年(1615)には大阪夏の陣出陣に祭し島津家久が戦勝祈願で梵鐘を寄贈しています。
 明治元年(1868)鎮座地名を冠して「長尾神社」と改称しましたが、明治30年(1897)には現社名に改称しました。

 高千穂峯より東に連なる故に東霧島の名あり、また霧島峯より東に連なる長尾山の端に位するため津末ともいう。当社は元勅詔院と称し、旧高11石余付置かれる。明治10年霧島神宮摂社兼郷社に昇格される。(神社名鑑より)

霧島六社権現(六所権現社)とは
 霧島神宮(西御在所霧島権現 別当・華林寺)(鹿児島県霧島町)、
 東霧島神社(東霧島権現 別当・勅詔院)(宮崎県都城市高崎町)
 狭野神社(狭野大権現 別当・神徳院)(宮崎県高原町)
 霧島東神社(東御在所霧島権現 別当・錫杖院)(宮崎県高原町)
 霧島岑神社(霧島中央権現 別当・瀬多尾寺)(宮崎県小林市)
 夷守神社(雛守権現 別当・宝光院) (霧島岑神社と合併の為現在は五社となっています。)
の六社のことで、これらの神社を六社権現として整備したのは十世紀、村上天皇の頃 天台法華仏教を奉じ、修験道の信仰を確立した性空上人でした。性空上人は霧島でも修行し、霧島山信仰を体系づけたといわれています。 

「境内案内図」はこちらで

神社入口 両部鳥居 社号標
参道の様子
神橋と鎮守の杜
神橋前にいる建立年代不明の中国製狛犬
養心堂 「神石(割裂神石)」入口
大きな刃物で切られたかのように、見事な切断面を見せる神石
日本神話では、「伊弉諾尊と伊弉冉尊は山の神・海の神など多くの神を産みましただが、最後に火の神である加具土命を産んだ為に伊弉冉尊は焼け死んでしまいます。悲しんだ伊弉諾尊は我が子(加具土命)を十握の剣で切り捨ててしまいます。切られた加具土命は三つの石と化し、十握の剣はその後霧島山の土砂に埋まり所在がわからなくなりましたが、一羽の鳩が橘の木の上を旋回するのに気付いた修行僧が木の下を掘ると一点の曇りもない剣が現れたといいます。この後、失意の伊弉諾尊は伊弉冉尊を追って黄泉の国へ行く事になります。」
 最後の一つの石は母智丘の巨石群の中にこの神石の割れた一部と言われる石があるとも、「宮崎郡大島平原村」に飛び去ったという説もある様で、宮崎市大島町の矢的原神社には高さ70cmほどの神石が祀られているそうです。
境内社:荒神神社 境内社:龍神社
龍王神水
故有谷の乳水
境内社:伊弉冉神社 市天然記念物指定
樹齢1000年のご神木・大楠
ご神木・大杉
鬼岩階段入口の二の鳥居
鬼像と湧水
鬼岩階段
鬼が一晩で積み上げたと云い伝えの残る有名な階段です。この階段は振り向かずの坂とも呼ばれ、後ろを振り向かずに願い事を唱えながら登り切るとその願いがかなうといわれています。
鬼岩階段左側に祀られる境内社:猿田彦神社
鬼岩階段右側に祀られる境内社:大国主命社
鬼岩階段左側に祀られる境内社:霧島の大神社
鬼岩階段右側に祀られる境内社:猿田彦神社
鬼岩階段最上部
神門の前の登りは短い距離ですが
特に傾斜が厳しくなります。
神門
社殿全景
拝殿
拝殿内部の様子 拝殿内に置かれた天狗面
市指定文化財・神輿
寛永二年(1639)、薩摩藩二代目藩主・島津家久により奉納されました。
島津家奉納の神輿は鹿児島県内には残っておらず貴重な物だそうです。
本殿 本殿正面
境内社:愛宕神社
境内社:白髭神社
社殿右側にある御神石