霧島岑(きりしまみね)神社(合祀・夷守神社)

小林市細野4937(平成21年1月6日)

東経130度57分46.59秒、北緯31度57分45.02秒に鎮座。

 この神社は宮崎自動車道・霧島SAのすぐ東に鎮座しています。104号線沿いの入口には立派な燈籠と大きな両部鳥居が建立され、参道奥には豊かな鎮守の杜が見えています。
 杜の入口にはとても保存状態の良い享保元年(1716)建立の仁王像が立ち、参道を歩くと宮崎の巨樹百選に選ばれたご神木・樹齢400年のイチイガシが聳え、この社の歴史の重みを感じさせてくれます。
 覆い被さる木々の中苔むした石段が続き、神域という雰囲気を充分味わい気持ちが引き締まった後に、二の鳥居を潜ると目の前がぱっと開け、森閑とした様子の境内が目に入ってきます。
 境内左側には数社の境内社が祀られ、正面奥には簡潔且つ威厳に満ちた作りの社殿が建立されています。本殿は鞘堂内に納められていますが、拝殿正面から拝するとやはりこの地域独特の向拝を支える龍の彫刻柱が見事な社殿でした。
 式内社日向國諸縣郡 霧嶋神社の論社だそうですが、鹿児島県霧島市・霧島神宮の賑わいを見てきた後だけに、この社の落ち着いた佇まい、幽玄な雰囲気が一段と感じられ、「こんなに素晴らしい神社なのに訪れる人もなく、一般の人達の参拝の基準はどういうところにあるのかしらね〜。」と、夫と二人考え込んでしまいました。

 御祭神:天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命、木花之佐久夜毘売命、天津日高日子穂々手見命、豊玉毘売命、天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命、玉依毘売命
 祭礼日:歳旦祭・1月1日、元始祭・1月3日、七草祝祭・1月7日 七草祓、節分祭・2月節分の日 厄年祓、紀元祭・2月11日、祈念祭・3月18日、馬頭観音祭・5月8日、大祓式・6月30日 12月31日、臨時祭(彼岸祭)・9月26日、例大祭・11月18日、除夜祭・12月31日
 境内社:繭神社等
 由緒:古、霧島岑神社は高千穂峰の中腹、瀬戸尾の高地に鎮座され、祭神は瓊々杵尊・木花咲耶姫命・彦穂々出見尊・豊玉姫命・鵜葺草葺不合尊・玉依姫命の六柱の神々である。
 承和4年(837)、日向国諸県郡霧島岑神は官社に預りのち従五位上を授けらる「続日本後紀」。天安2年(858)従四位下に叙せらる「三代実録」。とあり、「延喜式神名帳」には日向の国式内四座の一であると記されている。
 天慶・天暦(10世紀)の頃、性空上人が霧島岑神社に参籠の折り、山麓四方に夷守神社他四社を創建し、本社である霧島岑神社(別名、霧島山中央権現宮)を合せて霧島六社権現と称した。
 天永3年(1112)韓国岳噴火、仁安2年(1167)大幡山噴火と相次いで神殿を焼失したが、その都度元の地に再建された。
 文暦元年(1234)には至近の火常峯(御鉢)が噴火し社殿は焼失、この高地に湧いていた「天の井」も涸れたので末社の霧辺王子神社の辺に遷座され、その地を新瀬戸尾と称した。
 その地に座すこと四百八十余年、享保元年(1716)新燃岳噴火、社殿は焼失 御神体は今坊権現に奉遷、次いで細野村岡原に遷座されたが新瀬戸尾の地は全く荒廃したので享保14年(1729)、夷守岳中腹に社殿を再建、明治初頭まで鎮座された。その地を今に築地と言う。
 明治5年(1872)県社に列せられ、翌6年細野村に合祀の世論起り夷守神社を先ず本社の岑神社に合祀した上で、同7年旧夷守神社の跡地(現在地)に霧島岑神社を奉遷して今日に至っている。(境内由緒書きより)

 どうも本来はこの社が霧島神社の本元本宮として「霧島岑神宮」と呼ばれ、霧島神社系の御本社となるところを、明治政府の薩摩藩閥の勢力により分社の西神社(現鹿児島県霧島市・霧島神宮)が御本社の様になってしまったようです。

霧島六社権現(六所権現社)とは
 霧島神宮(西御在所霧島権現 別当・華林寺)(鹿児島県霧島町)、
 東霧島神社(東霧島権現 別当・勅詔院)(宮崎県都城市高崎町)
 狭野神社(狭野大権現 別当・神徳院)(宮崎県高原町)
 霧島東神社(東御在所霧島権現 別当・錫杖院)(宮崎県高原町)
 霧島岑神社(霧島中央権現 別当・瀬多尾寺)(宮崎県小林市)
 夷守神社(雛守権現 別当・宝光院) (霧島岑神社と合併の為現在は五社となっています。)
の六社のことで、これらの神社を六社権現として整備したのは十世紀、村上天皇の頃 天台法華仏教を奉じ、修験道の信仰を確立した性空上人でした。性空上人は霧島でも修行し、霧島山信仰を体系づけたといわれています。

社頭 社号標
「宗廟霧島岑神社」
入口の一の両部鳥居 車道参道の様子
ここから参道は巨樹が聳える鎮守の杜の中、苔むした石段を上がっていきます。
享保元年(1716)建立の仁王像
参道入り口にある宮崎の巨樹百選に選ばれたご神木・樹齢400年のイチイガシ
覆い被さる木々の中、
苔むした石段が続きます
境内入口の二の鳥居
森閑とした境内の様子
社殿全景
拝殿
拝殿内の様子 本殿正面
本殿向拝を支える龍の彫刻柱が見事です。
本殿鞘堂
右脇殿(向かって左側) 左脇殿(向かって右側)
境内左に祀られる大きな境内社
境内左に祀られる境内社:繭神社
境内左に祀られる境内社 境内左に祀られる境内社