洲原神社

美濃市須原468-1-1(平成21年5月2日)

東経136度57分05.57秒、北緯35度35分20.10秒に鎮座。

 この神社は須原駅の北東約500m、長良川に面して鎮座しています。国道から細い道を入ると社号標と靖国鳥居が建っており、境内へはいる石段もありますが、正式の参拝はこの奥、参道を進み楼門からとなります。楼門の正面は長良川になっていて川へと続く石段がありますが、嘗てはこの川面で禊ぎをしてからこの社に参拝していたのでしょうか? 神社境内の社叢とその背後の鶴形山暖地性植物自然林は照葉樹林が自然林の状態のまま残され、県指定文化財・天然記念物となっていますが、見渡す限りの奥深い鎮守の杜のお陰で国道の騒音も一切聞こえません。
 市重要文化財指定の楼門を潜ると境内なのですが、澄み切ったような静寂の中、正面に拝殿、舞殿、中門と透かし塀、県指定重要文化財の中央本殿・東西本殿など全ての屋根が桧皮で葺かれていて、只々圧倒されるばかり…。圧巻でした。
 社殿に見とれてばかりはいられません。この社に参拝したのはもう一つ理由があったのです。この社の前に立ち寄った美濃市上条の八幡神社の宮司さんが、この社に文化財指定の神殿狛犬があるからとこちらの宮司さんに連絡を取ってくださって、本殿内に格納されている江戸期建立の市重要文化財指定・神殿狛犬3対を見学させていただけることになっているのです。社務所に声をかけると宮司さんが白衣を持ってこられ、お祓いを受けてから、中門を潜り、本殿の扉を開けてくださいました。江戸時代建立の木製神殿狛犬は、市重要文化財に指定されるまでは本殿の縁に置かれていたので、かなり痛んでいますが、筋肉質の力強い体型をしており、鬣や尾の装飾が見事でした。又、素朴で惚けた感じの陶器製狛犬や狐さんも楽しく拝見させていただきました。
 この様な経験は中々出来るものではないので、貴重な体験として永く記憶に残ることでしょう。

 御祭神:中央本殿 ・伊弉諾尊(伊邪那岐命)、東殿・伊弉冉尊(伊邪那美命)、西殿・大穴牟遅神(大国主神)
 例祭日:4月第一日曜日
 由緒:社伝によると、 元正天皇の養老元年(717)白山の泰澄大師に勅命が下り、同5年(721)に創建された古社です。白山信仰の前宮として、北濃の長滝神社、石徹白の白山中居神社とともに白山信仰の中心となった神社で、中世より近郷第一の規模をもつ大社です。この神社は古来農桑の神として尊崇され、神社の「お砂」を田畑にまけば豊作といわれ、江戸時代から洲原講の組織があって各地からの参詣者でにぎわっていました。

社頭
社号標 入口の靖国鳥居
石の太鼓橋 参道の様子
参道右側には長良川の静かな流れが見えます。 楼門の前は川へと続く石段になっています。嘗ては船で参拝したのでしょうか、それとも長良川で禊ぎをしてから参拝したのでしょうか?
境内入口
市重要文化財指定・楼門
社殿全景
市重要文化財指定・拝殿
市重要文化財指定・舞殿
中門前、大正3年生まれの狛犬
阿は大笑い、吽は目が笑っている朗らかな狛犬です。
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(大正3年(1914)8月吉日建立)
本殿全景
中門と透かし塀
県指定重要文化財・中央本殿
三間三面入母屋造り桧皮葺。前面に向拝がつき、三手先斗組の間に蟇股を入れ、唐様を主として和様を混ぜ、市内で最も規模の大きい立派な本殿です。本殿と並んで東西の三社殿並立の姿は感動もののすばらしさでした。
県指定重要文化財・西本殿
三間三面の流れ造り、身舎は円柱、向拝は角柱を用い、斗組は出組で勾欄をめぐらしています。
県指定重要文化財・東本殿
三間三面の流れ造り、身舎は円柱、向拝は角柱を用い、斗組は出組で勾欄をめぐらしています。
中央本殿内に納められている江戸時代建立の木製神殿狛犬
市重要文化財に指定されるまでは本殿の縁に置かれていたので、かなり痛んでいます。阿は首を90度曲げ、吽は真っ直ぐ正面を見据えています。かなり潰れた小顔で、筋肉質の力強い体型をしており、鬣や尾の装飾が見事です。
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中央本殿内に納められている市指定重要文化財・陶器製狛犬
飛騨地域でよく見かけたはじめタイプの狛犬と共通する雰囲気があり、又、尾の感じから、もしかしたら狛犬ではなく狼なのかもしれません。素朴で惚けた感じが大好きです。
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中央本殿内に納められている宝暦4年生まれの市指定重要文化財・陶器製狐
元は西本殿に置かれていたそうです。口に何を咥えているのでしょう?
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(宝暦4年(1754)建立)
中央本殿隅に置かれている小さな陶器製狛犬