出雲路幸(いずもじさい)神社

安来市西松井町(平成17年11月27日)

 この神社は安来市街地から45号線で南西に向かい、飯梨川に架かる能義大橋を渡ると、右手の土堤下に鎮座しています。
 京都上京区幸神町に同名の神社がありますが、そちらは出雲氏が、その氏寺である出雲寺へ至る道を称して出雲路と呼ばれることとなったと推定され、鞍馬街道をはじめとする北方への街道の要衝であった地の、道祖神として幸神(サイノカミ)が祀られ、街道を往来する庶民の信仰を集めることとなり、「出雲路幸神社」となりました。
 ここ出雲の地の「出雲路幸神社」は、出雲国風土記には狭井(さい)社、延喜式神明帳には佐為神社と記載されている古社ですが、境内には紀州熊野庄司の娘弁吉女が当社に縁結びを祈願し、良縁を得て産まれた子が、武蔵坊弁慶であるという案内と弁慶腰掛け石がありました。
 式内社調査報告には、「創立年代不詳。中世以来社号を称へないで、単に「道祖神」又は「出雲路幸神」或は「松井宮」と称し、古社地は現在地を距る約五町ばかり西北の字狹井原に在った。」とあります。幸神社とは「塞神社」であり、道祖神としての幸神(サイノカミ)が祀られ、街道を往来する庶民の信仰を集めたという共通点があるようです。
 飯梨川の土堤下にあり、車で往来する現代人の目には留まりにくい神社ですが、境内は狭いながらも明るく、社殿も未だ綺麗で、のんびりと弁慶や義経のことを回想するには恰好の雰囲気の神社でした。

京都の出雲路幸神社はこちら。

飯梨川河川敷の様子 神社遠景
境内から見た飯梨川土堤 神社入り口
弁慶腰掛け石
安政5年生まれの出雲構え獅子。保存状態は良いようです。
(安政5年(1858)10月吉日建立)
拝殿 本殿
境内社
式内社  佐為高守神社(天鈿女命)