(うしとら)神社

尾道市長江1-3-5(平成20年3月24日)

東経133度12分14.61秒、北緯34度24分26.44秒に鎮座。

 この神社は国道2号線・長江口信号のすぐ南から山陽本線の下を通る道路を入るとすぐに入口の鳥居が見えます。
 入口から参道右側は千光寺ロープウエイ山麓駅で、ロープウエイはこの神社の真上を通っており、境内入口には頭上を覆うようにロープウエイの保護網が掛けられています。それでも境内に足を踏み入れると、町中にあるにもかかわらず神聖な空気が色濃く漂よっているように感じられるのは、県下第4位のご神木の大楠を初めとする楠の巨木群が境内一杯に枝を張り出すその生命力や、悠久の時間を風雪に耐えながら過ごしてきた先輩に対する尊敬の念などから、大楠そのものにとても神々しいものを感じる所為でしょうか。
 随神門に至る参道脇にも境内社があり、随神門を入ると左手に玄武か神亀が水を流している綺麗な手水舎が有ります。境内入口手前右側には境内社・塞神社が祀られ、数段の石段を上がり境内に入ると、すぐに建立年代不明の出雲丹後狛犬が居ます。阿と思われる物は頭部がなく、吽も殆ど原型をとどめては居ませんが修復され大事に保存されている姿にはとてもうれしさを感じました。
 境内正面には二重屋根のように見える妻入りの拝殿が建ち、その後ろには木々に覆われ良くは見えませんが神明造りの本殿が建立されています。その社殿左右には数々の境内社が点在し、又社殿左側の巨大な磐座には巨石マニアでなくとも畏怖の念を覚えました。この地が古代から神聖な地として崇められてきた要因の一つとなっているのでしょう。
 今回の神社巡りでは、記憶に残る素晴らしい神社が数多くあったのですが、この社もその一つとなりました。

 御祭神:伊邪那岐神、天照大御神、神素戔男命、吉備津彦命
 例祭日:10月13〜15日
 境内社:稲荷社、塞神社、恵美須神社・猿田彦神社・豊玉彦神社、代々七福稲荷神社、金山彦神社等11社
 由緒:大同元年(806)の創建とされる古社で、嘗て別当寺だった千光寺と創建年代は同じです。
 旧尾道町西半分の産土神で、現在の氏子地域は東久保・西土堂・大宝山山麓・長江北地域です。
 古くは多氣遠宮・建遠神社と称し、素戔男命を祀る神社でしたが、吉備津彦命が天延3年(976)に合祀され、鎌倉時代の初め・1200年頃、幣多賀宮との二社合祭となりました。現社名に変更されたのはもっと後世の様です。
 明治の社格では村社に列しています。

神社入口
社号標 参道の様子
参道脇の境内社 参道脇の境内社:稲荷社
随神門
右側の柱は山頂にある千光寺へのロープウエイ山麓駅のものです。
手水舎 手水舎では、珍しく玄武か神亀が
口から水を流しています。
境内入口手前右側に祀られた境内社:塞神社
入口と社殿
境内社:塞神社に居る建立年代不明の玉乗り狛犬
随分厳つい顔つきですが、柱の陰に隠れて全貌は撮せません。
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境内入口
参道上には頭上を覆うようにロープウエイの保護網が掛けられ、さらにその上に県下第4位のご神木の大楠の枝が覆い被さっています。
境内に入るとすぐにこの出雲丹後狛犬が居ます。建立年代は不明で、阿と思われる物は頭部がなく、吽も殆ど原型をとどめては居ません。松江市・八重垣神社にいる同型の室町前期の作といわれる狛犬よりも欠損・剥落が著しいですね。それでも、こうして補修しながら境内の光の当たるところに置いてくださる、その気持ちがとても嬉しかったです。
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境内の様子
拝殿前の寛政12年(1800)生まれの狛犬
縦置きで笏谷狛犬の流れを汲む様な造りです。阿は垂れ耳で鬣がカールし、吽は角を付け横に耳を立て鬣はストレートヘアーです。胸の筋肉が発達し、体中に波輪状の模様が付き、しっかりと前方を見据えています。
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(寛政12年(1800)12月吉日建立)
二重屋根のように見える妻入りの拝殿
神明造りの本殿
境内左手
境内社:恵美須神社・猿田彦神社・豊玉彦神社入口と、ご神木の大楠、磐座
拝殿横の磐座
境内社:恵美須神社・猿田彦神社・豊玉彦神社
社額と社殿
境内左手
境内社:代々七福稲荷神社
入口と社殿
境内左手
境内社:金山彦神社入口と社殿
金山彦神社に居る大正10年生まれの玉乗り狛犬
若々しくやんちゃそうな顔をして、張り切って金山彦神社を護っているようです。
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(大正10年(1921)3月建立)
境内右手に祀られる境内社
入口と社殿
境内右手
名称不明の境内社
入口と社殿
境内社に居る嘉永5年(1852)生まれの玉乗り狛犬
上半身を垂直に立て、下半身を後ろに突き出した独特の姿勢が強調されています。耳を真横に伸ばし、目つきが厳しく、この時代の狛犬としては随分厳つい感じがしますね。
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(嘉永5年(1852)5月建立)
境内右手
名称不明の境内社
入口と社殿
境内右手
名称不明の境内社二社
入口と社殿
境内右手
名称不明の境内社
入口と社殿
境内右手の神宮遙拝所と石碑 参道途中の磐座
県天然記念物指定・樹齢約800〜1000年のご神木・大楠
境内にはこのご神木の他に楠の巨木が何本も聳えています。
神社入口から見える嘗ての別当寺・千光寺
このお寺は、幾たびも映画のロケ地に選ばれている、尾道市を代表する観光名所となっています。遠目にも巨岩がゴロゴロし、神奈備山として古くから信仰の対象とされてきた理由が良く分かります。