大沼神社

西村山郡西川町沼山林中982番ノ5 (平成20年5月4日)

東経140度7分38.27秒、北緯38度25分17.96秒に鎮座。

 この神社は長沼湖畔に拝殿・本殿が、中之島に奥の院が鎮座するという、未だ嘗て経験したことのない、建立方法の珍しい神社です。
 長沼は幹線道路からずっと山側に入ったところにあり、満々と水を湛えた、地元の高校生や家族連れが魚釣りを楽しむような静かな湖です。その湖の畔に神社の入口があり、「郷社 大沼神社」という社号標を見ても、始めは極々普通の造りの社殿と思い、気楽に参拝し社殿の写真などを撮っていました。ところが本殿を撮ろうと奥に回り込むと対岸にまだ社殿が見えるではありませんか。おまけにこちら側にはいなかった狛犬の姿も見えます。慌てて夫に知らせ、対岸に回り込みましたが、実は対岸と思っていた場所は湖に浮かぶ中の島でした。こちら側からも船がない限り社殿近くまではいけません。またまた逆戻りをして本殿の裏側に戻り、対岸からズームをめいっぱい伸ばして写真を撮って貰いました。というわけで画質は少々荒いですが、ご容赦を…。

 御祭神:天之水分神、火産霊命、大山祇命、奥津彦名命、奥津比賣命
 例祭日:9月15日
 由緒:勧請年月・縁起・沿革等は不明ですが、御明神様と称して養蚕の守護神であり、昔日は蚕の掃立前や、また日・干・時に近郷村民が雨乞いを祈願するとと必ず降雨の霊験があるので参詣に来るものが多かったそうです。

神社全景
長沼の右側湖畔に見えるのが拝殿と本殿、左側の中の島に見えるのが奥の院です。
社号標
「郷社 大沼神社」
神社入口
向拝のない拝殿
本殿鞘堂
対岸近く、中の島に建立されている奥の院
奥の院の鎮座する中の島には橋が架けられておらず、祭礼時などには船で行き来をするのでしょう。杉林の濃緑色の前面に淡い落葉樹の新芽が微妙なコントラストを見せる中、エメラルドグリーンの水面に映る奥の院の光景は、まさに神寂びたという形容詞にぴったりの風景でした。
奥の院
この奥の院の彫刻は、飛騨高山で修行したと言われている、西川町が生んだ名工・高山文五郎の製作によるものです。詳細は見えませんが、生き生きとした感じの挙鼻の龍や木鼻の狛犬・象が見え、脇障子にもなにやら彫られているようです。
奥の院前にいる建立年代不明の狛犬
10倍ズームを使ってやっと写しました。
何故か俯き加減で下向きの狛犬達。阿吽の位置が反対で、阿は小さな玉に手を掛け、吽には小さな角が付き、耳を後頭部に流し、尾は太くソフトクリームのような絞りがあり背に付いています。阿はややおじさん顔ですが、吽の憂愁に満ちた表情が何ともいえない雰囲気を醸しだし、私は大好きになりました。
狛犬の拡大写真はこちらで