王子神社

西牟婁郡すさみ町周参見山崎(平成18年3月28日)

 この神社は周参見川右岸、222号線と紀勢本線の間に鎮座しています。境内隣には「すさみ町歴史民俗資料館」があり、町文化財指定の歴史的に貴重な王子神社奉納絵馬が保存・展示されています。展示物の船絵馬からは、周参見港が荒海の熊野・枯木灘を行き交う浪花・江戸航路の中継地・避難港として栄えていた当時の様子を伺うことができます。
 天文15年(1546)当時の周参見領主、左衛門太夫藤原氏安公によって那智神社あるいは熊野三山から勧請され現在地に創建されましたが、元和2年(1616)藩主浅野氏に領地を没収され帰農するにあたって、その祭祀は防地の春日神社とともに周参見地区に委ねられ、周参見の産土神となりました。往時には「若一王子権現社」といわれ、海上安全の信仰で名高く、多数の奉納絵馬がみられます。明治初年に「王子神社」と改称しています。その後、同36年に防地の春日神社(八幡宮は天文年中の山津波によって社殿棟札共に流出したため慶安5年(1652)に再建、防地春日神社に合祀されています。)を合祀し、同42年5月に一村一社制に基づき、中ノ町の蛭子神社、上戸川の春日神社・安知神社・弁天神社、下戸川の諏訪神社、立野の春日神社、稲積の弁天神社、平松の天満神社の 8社を合祀しました。尚、これらの経緯について記された「王子神社祭神一覧」は拡大写真でどうぞ
 この王子神社は、成立の年代や経緯から、熊野九十九王子社には数えられないそうですが、拝殿前に張り出されていた「王子神社祭神一覧」にはその数の多さに度肝を抜かれました。つくづく明治政府の間違った強引な政策が恨めしいですね〜。

神社入口 社号標
境内の様子 拝殿
文久2年(1862)生まれの浪花狛犬。丸い団子っ鼻がご愛敬。
(石工・勇助、栄作 文久2年(1862)3月吉日建立)
本殿 脇宮・左から八幡宮、春日宮、熊野宮
本殿右手の旧若一王子社?か、摂社?