熊野神社

西牟婁郡白浜町才野(平成18年3月28日)

 この神社は紀勢本線・紀伊富田駅から212号線で南西に向かい、南白浜で右折。大栄白浜年金ホーム前を通り、突き当たりを左折すると鎮座しています。
 この地は権現平と呼ばれる海に迫った小高い山の上の平坦地で、熊野権現が本宮に鎮座する以前に鎮座したと伝えられる神社です。けれどここは海に近く、余りに波の音が五月蠅いので、熊野権現は静かな場所を求めて日置川を遡り追ケ芝で鎮座しようとしましたが、ここでも波の音が聞こえたので一日で諦め、再び理想の鎮座地を求めて旅立ちました。そして遂に熊野川と音無川の合流点の中洲・大斎原に理想の土地を見出し、そこに永住する事を決めたのだそうです。才野熊野権現平桜宮祭は、豊作と無病息災を祈る神事として100年以上引き継がれ、熊野本宮大社と同日の4月14・15の両日に執り行われています。神社の背後には古墳時代中期の竪穴式石室の円墳が8基点在しており、これは古くからこの地で人々の生活が営まれ、文化の華が咲いていた証ではないでしょうか。
 以前の熊野神社は「桜の宮」とも言われたほどの日本一の山桜の名所でしたが、戦後食料増産のために権現平の山桜はことごとく伐採され、田畑に変えられてしまいました。その後絶滅を危惧されていた権現平桜は、兵庫県西宮市で生育していたことがわかり、地元の青年たちをが中心になり、「桜の宮」復活を目指して植樹活動が再開され、現在ではソメイヨシノ・権現平桜など数百本の桜が花を咲かせるようにり、参道に淡い彩りを添えるようになりました。

神社遠景。参道は桜並木です。 境内入り口
伐採後植えられたソメイヨシノ 里帰りし、植樹された権現平桜。
ソメイヨシノより淡い色合いで、何とも清楚で可憐な感じがします。
社号標 拝殿
本殿 境内の藪椿