紀の川市粉河町嶋(平成18年3月26日)
この神社は和歌山線・紀伊長田駅の東南東約500mに鎮座しています。社号標には「風市神社」、地図には「風市森神社」、拝殿の扁額には「風一火森明神」とそれぞれ異なる社名が書いてあり、この神社の変遷の歴史の一端が伺えるような気がしました。
御祭神は、級長戸辺命(しなとべのみこと)、若一王子(天忍穂耳命)、丹生都比売命 ですが、秀吉の根来攻めの際、社殿、宝物、古文書が焼失し、創祀などの由緒は不詳と言うことですが、伝承によると創祀は宝亀年中(770〜780)以前の事といわれ、井上本荘に属する村々の氏神でした。若一王子は神木塚の、丹生都比売命は北長田の氏神でしたが、延暦年中(782〜806)にこの地に合祀されたといわれています。
級長戸辺命は風の神で、弘安4年(1281)の元冦に際して蒙古の敵軍を全滅に至らしめた神威の発顕によって一躍別宮に加列された神で、伊勢の豊受大神宮(外宮)風の宮より勧請、この地の鎮守神となりました。天忍穂耳命は天孫である事を示す「天」、威力を表す「忍」、稲穂の「穂」、「耳」は神霊を意味する「ミ」が重なった美称で、天の安河原で、天照大神と素戔嗚尊が誓約を交わした際に、天照大神の左の髪につけていた勾玉を、素戔嗚尊がすすぎ洗ったときに生まれた神さまです。丹生都比売命は、天照大御神の妹神で別名・稚日女命ともいい、その子神、高野御子と共に大和・紀伊の人民の為に農耕、糸つむぎ、機織り、煮炊きの事などを教えられました。