蟻通神社

伊都郡かつらぎ町東渋田(平成18年3月26日)

 この神社は国道24号線から別れて480号線に入り、紀ノ川を渡り400mほど進むと、480号線に面して左手に鎮座しています。
 案内に依れば、天武天皇白鳳2年(673)、唐の高宗から七曲りの玉を献じられ、これに糸を通して返せ と難題をもちかけられたとき、一人の翁が現れ山蟻に糸を結び付け玉に入れ、一方穴の出口には蜂蜜を塗りました。 蟻は蜜の香りにひかれて穴を通り抜け見事糸を通しました。人々は感嘆してその名を問うと翁は「吾は紀の国蟻通の神」と言って姿を消しました。是により 神人ならんと、この年、神号を蟻通と賜わり志富田(渋田)荘の氏神として尚一層の崇敬を受けたということで、同名社は田辺市にも鎮座しています。
 御祭神の八意思兼命は天御中主神・神御産巣日神と共に、高天原の造化三神の一人・高御産巣日神の御子神で、思慮の神様と言われています。天の岩屋戸に隠れた天照大神を、慰め誘い出す方法を考え出したり、葦原中国平定の使者を選定し、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に従って地上に下ったとされています。

神社入り口とすぐ奥の割拝殿
弊拝殿
瑞垣前の可愛い狛犬。でも高い位置にいてよく撮せません。
(明治37年建立)
本殿・八意思兼命(中央)
左脇宮・事代主大神、少彦名大神 右脇宮・市杵島姫大神、大國主大神
 狛犬の由来が書かれていることは珍しいし、「自然石造りの狛犬」と
銘打って鎮座されている狛犬も始めてみました。
案内によると、「古より神社の守護として存在する。」と有りますが、
確かに外観は自然石のようですが、お腹の下は刳り抜かれている様に見えますし、
「自然石造り」をどう考えて良いのか迷います。
 この狛犬は高さが約1.5mあり、小児が足下をくぐれば疫病軽く治まると伝わっています。
また蟻が通り抜けた因縁により、知恵の輪くぐりとして崇敬され、入試・入学・就職時などには
地元はもとより近郷近在より参詣祈願者が多く後をたたないそうで、
この「知恵の輪くぐり」の行事は3月末の土曜日・日曜日に行われています。
 また「この狛犬は牡狛犬一基であって、雌狛犬は、四邑川の三重の滝壺にあり」の
伝承地の一つとしてとして、東渋田薬師山の薬師一の滝の底に高麗狗があり、
これが蟻通神社の雌狗であると伝えられているそうです。
 なお、この狛犬は透かし塀内の極近い場所に置いてあるので全身写真は撮れず、
下記横向き写真は3枚の写真を合成したものです。
 
透かし塀の外からの狛犬全身写真 平成8年に自然石造りの狛犬と
対になるよう建立された玉獅子
境内社・平和宮入口と社殿
境内社・蟻通戎神社 レンギョウのお花が盛りでした