奥戸天祖神社

葛飾区奥戸7(平成17年6月12日)

この神社は中川と新中川の分流点に近い奥戸7丁目の、葛飾スポーツセンター入り口に近い道路に面して鎮座していますが、地図には記載されていません。此処は毎年10月15日前後の土曜日に行われる大しめ縄神事が有名ですが、これは旧奥戸村の天祖神社の祭礼で本来は氏子各戸から持ち寄った稲藁を用いて、約10メートルの大注連縄を作り、アクマバライといって村内をかつぎ回り、巡回後は正面の鳥居にかけられていましたが、稲作もほとんど行われなくなった今日では、材料の稲藁も地元産はごく一部で、多くを千葉県から調達するようになってしまったそうです。区の無形民俗文化財となっています。又、葛飾区の神社巡りをしていて「どうしてこの地域にはこんなに天祖神社が多いのでしょうね〜」と夫と二人、不思議に思っていたのですが、鎌倉時代、所謂「坂東武士」といわれた葛西氏一族、中でも鎌倉幕府の重臣として将軍家の信任厚く、葛西(葛飾、江戸川両区と墨田、江東各区の一部)の地を領有していた葛西三郎清重が神崇祖のつよい人で、所領地の大半を伊勢・香取の両神宮に寄進しました。そこで、葛飾区を中心とする一帯は、平安末期から室町時代にかけ両神宮の神領地となり、当時の領民が両神宮の分霊を祭った為、今でも天祖神社、香取神社の多い地域となったという事です。又狛犬ファンの私達にとって嬉しかった事は、多分石工さんの名前から鑑みて江戸時代の作と思われる授乳狛犬が、裏参道の目立たない場所に置かれていた事です。

(石工 長右衛門)

表参道入り口

立派な拝殿と棒のような大注連縄

神明造の本殿

境内社・浅間神社

約7.9mの大注連縄

裏参道入り口

石工さんの苗字が無いのと名前の感じから江戸期の狛犬と考えました。阿吽の位置が反対で、鼻の下が長くチョット絞まりのない顔つきですが、子育て中の優しさに満ち溢れた表情が好感を持たせます。阿吽共に子取りで阿は授乳をしています。