徳島市南佐古七番町(平成19年3月28日)
この神社は眉山北西麓に鎮座しています。旧参道と思われる一直線に伸びた道路の奥に大きな鳥居が建ち、その奥に境内へと続く150段余りの階段の参道が続きます。入口の鳥居を潜るとそこは明るく広々とした広場になっていて、ベンチでのんびりと憩う人達が結構見られました。階段の左側は椎宮公園となっており、昭和5年に植樹された約3000本のツツジの木が元気よく育ち、毎年5月の上旬には盛大につつじ祭りが行われ、賑やかな様相を見せる様です。また、境内付近には眉山湧水群の雲竜水、青龍水が湧き出ているようですが、残念なことに私達は知らずにいて戴いてきませんでした。又、境内には多数の伝説上の狸さんを祀った祠があり、そこには保存会による丁寧な解説がされていました。
御祭神:品陀和気命、木花咲耶姫命
例祭日:10月16・17日
境内社:中嶋神社、稲荷神社、天神社、神明社、勇大明神・お咲大明神、お船戸大明神・若宮大明神、猿田彦大明神、栄大明神、松広大明神、どか大明神
由緒:案内が無く、創建などは不明ですが、昔の吉野川は洪水の多い暴れ川で、洪水で上流から神様・仏様が流されてくるということも多かったそうです。ここ椎宮神社も上板町の椎本から流れてきて徳島市の矢三に漂着した神様をお祀りしたらしい…ということです。
神社遠景 背後の綺麗な円錐形の山が眉山です。 |
神社入口 |
入口の明神鳥居 | さあ、いよいよここから 152段の石段登りが始まります。 |
階段途中の鳥居脇にいる文政2年(1819)生まれの出雲丹後狛犬。 …といっても私達だから分かるようなものの、普通の人が見たら、 只の石くれにしか見えないかも知れません。 風化が進んで体表は殆ど剥落しています。 |
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(文政2年(1819)8月吉日建立) | |
階段途中の台輪鳥居 | さあもうすぐ境内です。ファイト! |
参道脇は石垣が積まれ、 展望台のようになっています。 |
境内入口 |
境内入口にいる年代不明の狛犬。 一対というには全体の雰囲気も細部の造りも余りにも違うので、 もしかしたら別の狛犬が組み合わされているのかも知れません。 阿は猿顔の逞しい狛犬で、吽は土佐で何体か見かけた 江戸時代建立の、見返り狛犬に似ています。 狛犬の拡大写真はこちらで |
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昭和3年生まれ、赤眼の狛犬。 この地域の特徴である石材の角を利用した、 やや鼻面の尖り気味の顔をしている狛犬です。 阿吽共に長い垂れ耳で、阿は口先で玉を噛んでいます。 身体の瘤も翼のこり、ゴツゴツした感じに為っています。 |
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(石工・福永岩吉 昭和3年11月建立) | |
明治37・8年の役に従軍したというから日露戦争でしょうか。 大事な人の帰還を祝って建立されたのでしょう。 丁寧に作られた出雲丹後狛犬です。 |
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(明治37・8年役従軍 建立) | |
拝殿 | 拝殿に掛かっていた赤天狗の面 |
本殿 | 境内から見た徳島市の町並み |
境内社・中嶋神社 |
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境内社・稲荷神社、入り口と社殿 | |
境内社・天神社 | 境内社・神明社 |
境内社・勇大明神・お咲大明神 | 境内社・お船戸大明神・若宮大明神 |
境内社・猿田彦大明神 | |
ここには狸伝説では代表的な「阿波の狸合戦」で勇名をはせた狸さんを祀った祠が多数祀られ、保存会の案内板が立っていました。元々は「佐三郎」と、その娘の「お咲」狸
を祀った祠が、ここの元祖だったようです。
現在は
◇勇大明神・お咲大明神…阿波の狸合戦に、金長方として勇名をとどろかせた佐三郎狸と、その娘のお咲を祀ってある。うどんが大好物で奉納され、勝負事や入学試験を祈願すれば、その霊験はあらたかといわれている。
◇お船戸大明神・若宮大明神…戦災前までは佐古町矢三口の大麻街道の田宮川畔に鎮座していたが、戦災で住居を失い、椎の宮神社の境内に移された。若宮狸はお船戸狸の13人の子供の一人である。。
◇猿田彦大明神…通称権現さんとよばれる狸神。鳴門市大麻町坂東の大麻比古神社から、猿田彦の神号を授かり、もとは佐古の権現町に祀られていた。しかし戦災で焼かれ、道路拡張の折に椎宮八幡宮に移されたという。
◇栄大明神…戦災前までは佐古六番町の堺橋のほとりに鎮座していた。阿波の狸合戦では金長方となり、女ながらも働いた女丈夫である。戦災で住まいを失い、祀り手が無くなったので怒り、町内の主婦を次から次へと後家にしたので、主婦たちは慌てて椎の宮神社の境内に祠をたてて祀った。
◇松広大明神…戦災前までは佐古の天狗谷に鎮座していた。いたってうどんが好物で、よく夜泣きうどんを立ち食いして、代金は木の葉を銭に化かして支払い、うどん屋を泣かせたので、天狗谷へは夜泣きうどん屋は立ち寄らなくなったという。商売繁盛の霊験あり。
◇どか大明神…元佐古五番町の南海醤油会社の前に鎮座していた。生まれつき子供が大好きな反面、子供が松の木に登って小便をかけたので、怒って子供に祟り、ついに死んでしまったといわれる。子供の守り神として子供の成長、入学試験を祈願すれば、霊験あらたかといわれる。
の六社が祀られています。