三毳(みかも)神社神社

栃木市藤岡町大田和 (平成17年6月25日)

東経139度37分45秒、北緯36度17分57.45秒に鎮座。

この神社は、東北自動車道・佐野藤岡ICから国道50号線で小山方面に向かい、信号二つ目を左折すると突き当たりに鎮座しています。
三毳山南麓にあるこの神社は天香香背男命を祀り、山麓三か村にはこの神を祀る里宮がそれぞれ鎮座し、此処はその内の一社です。この三毳山の「毳」は柔らかい毛のことで、この山がなだらかで優しい姿の峰が三つ並んでいる事から、この字を当てたとか、昔は山麓の三か村の共有の山であったので、「みかむら」が「みかも」になったともいわれています。
ここは山を背景に樹木が清々しく生い茂り、星の神で山に降臨された天香香背男命のいらっしゃる場所として、相応しい雰囲気をもつ神社でした。星神は特に鉱山関係者の尊崇する神ですが、大和朝廷にとってはうつろわぬ悪神で、時と共に大和朝廷に征服されて、この神も中央政権にとって良い神となっていきました。その星神を祀る神社が栃木県にはたくさんあり、この地域が如何に豊かで独自の文化や宗教観をもっていたかが窺えます。そしてこの星神信仰は後に仏教と習合して妙見信仰となっていきました。三毳山は古くから都人にも知られた山で万葉集にも取り上げられ『しもつけぬ みかもの山の こならのす まくはしころは たかけかもたむ』の歌碑が境内にありました。

社号標と神社入り口

昭和初期、佐野にもこんなに素敵な江戸風の狛犬を彫る石工さんが居たのですね。拡大写真はこちら。

(佐野大町・石工 荻野 雅松刻  昭和2年(1927)5月23日建立)

社殿

神楽殿

合祀社

御神木

万葉歌碑

『万葉集』巻十四東歌。『しもつけぬ みかもの山の こならのす まくはしころは たかけかもたむ』の歌碑


クマちゃん通信員からまた「早春の妖精」とも言われるカタクリの花便りが届けられました】(平成18年3月20日撮影)

この神社の北に位置する、みかも山公園内にカタクリの群生地があります。そこは公園東入口から入って中岳を少し登った所で「カタクリの園」と呼ばれています。ここのカタクリは、佐野の「かたくりの里」より開花時期が少し遅れます。今日(3/20)行って来ましたが、まだまだでした。

 同じ三毳山麓に有りながら「万葉自然公園かたくりの里」より、随分開花時期が遅いのですね。その分永くこの可憐なお花との会話が楽しめますが…。
 カタクリのお花の赤みがかった紫が大好きな私は、以前球根で何株か買い込み、庭の片隅で育てたことがあります。けれど花が咲くまでに4年かかり、その後3年くらいは楽しませてくれましたが、いつの間にか消えてしまいました。『やはり野に置けカタクリ草…』ということなのでしょうか?
 因みにカタクリの学名は「Erythronium japonicum」、ユリ科カタクリ属に属する山野のやや明るい林の下に生える多年草で、和名を「カタカゴ」といいます。和名の由来は花を付けない片葉の葉の模様が鹿の子に似ている事から「片葉鹿の子」→「カタカゴ」→「カタクリ」になったとも、実がまだ栗のいがの中にある熟し切っていない実に似ている事から、「片栗」と呼ばれるようになったとも云われています。
 昔から日本人には好かれるお花だったようで、万葉集・大伴家持の歌にも
    『もののふの 八十娘(やそおとめ)らが 汲み乱(まが)ふ 
                     寺井の上の 堅香子(かたかご)の花 』(巻18)
と詠まれています。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』参照)