八剣神社

佐野市梅園町(平成17年9月11日)

【狛見倶楽部 佐野支部 クマちゃん通信員より】
旧田沼町梅園は、幹線道路から入った何処へも抜けられない地区です。狛犬の後ろに、昭和十一年、兵隊の階級、勲七等、勲八等、岩上六郎、岩上七郎等の文字が彫られていました。昭和十一年ころは、軍国主義へと進んでいた時代です。勲章をもらったということは軍功があったということでしょう。姓が同じですから兄弟なのでしょうか? 六郎、七郎という名前ですから、兄弟が多かったのでしょうか? 戦死ということも考えられます。もしそうならば、親たちは、どのような気持ちで狛犬を奉納したのでしょうか? 想像が膨らんでしまいました。神社は、最近修繕が行われていました。
余談になりますが、この地区は道幅が狭い為なのか「地元車優先」の標識が立っていました。これは初めて見ました。また、この地区には、以前テレビで紹介された「里山の宿・梅庵」があります。この宿は、一日一組(2〜4人)限定だそうです。

この神社は旧田沼町を通る66号線・梅園入り口の信号から北に入り、道なりに約1.4km程で右側に鎮座しています。平成10年に傷んでいた部分だけ改修されたようで、新旧の木材が入り交じった様子が写真でも分かります。又鶴亀などお目出度い彫刻の施してある本殿は綺麗に彩色されています。以前私達が参拝して感心した唐沢山の入口に鎮座する 露垂根(つゆしね)神社に似ています。拝殿の扁額には正一位八剣大明神とありますが現在の御祭神は日本武尊、天文年間(1532〜1555)に勧請されたといわれています。里山の近くの静かな、今でも里人に大切に守られている神社、という感がしっとりと伝わってくる神社のようです。

(田沼・石工 川田石店  昭和11年11月建立)

上の境内入り口

結構な階段のようです

勲七等・岩上六郎、勲八等。岩上七郎等の文字が彫られている昭和11年11月建立の狛犬。未だ大東亜戦争の始まる前ですから、この方達は職業軍人だったのでしょうか。この狛犬の、目を大きく見開いて歯を食いしばった姿は、何かこの方達を彷彿とさせるものがあります。

改修で綺麗になった拝殿

彩色の残る彫刻付きの本殿

末社

「地元車優先」の標識が立つ道路

長閑な里山の宿・梅庵の建つ風景