大田原市佐良土(平成18年4月22日)
【狛見倶楽部 佐野支部 クマちゃん通信員より】
この寺は、国道294号線を北上、国道400号線の分岐付近にあります。狛犬の年号が読み取り難いのですが、明治3年かもしれません。境内に西行法師が立ち寄って歌を詠んだいう「西行桜」があり、とちぎ名木百選に選ばれています。
法輪寺は栃木県内に只二ヶ所だけ残っていた村・旧湯津上村の佐良土に、貞観2年(860)慈覚大師円仁が開山した天台宗の古刹で、初院・中の院・奥の院と本堂の大日堂があります。鳥居のあるお寺としても知られている見所が多い寺院で、市指定文化財の勅額門や、中の院には縁日以外は見ることができない秘仏を納めた神輿、また明治の初め頃、付近の村で盗難や火災が頻繁に起こり、天狗の仕業と考えた村人たちが被害を封じるために奉納されたといわれている天狗堂の天狗面は、高さ210cm、横幅160cm、鼻の高さ130cm、重さ1トン、木彫りでは日本一といわれています。
熊さんのライフワーク「とちぎ名木百選」の、中の院のしだれ桜は、樹齢約800年。西行法師がみちのく行脚の折「盛りには などか若葉は今とても 心ひかるる糸桜かな」と詠んだと伝えられており、現在のしだれ桜は2代目のようです。
約400年の歴史を持つ例大祭は毎年11月3日に行われ、中でも神仏習合を今に伝える、全国でも珍しい寺院での神輿の渡御は、この祭りの見どころになっていて、天狗面をつけた高下駄姿の猿田彦に扮した二人を先頭に行列が出発。箒川に架かる箒橋までの往復約2kmを無病息災などを願い練り歩き、とても賑やかな行事となっているようです。