生子(いきこ)神社

鹿沼市樅山町(平成18年9月10日)

【狛見倶楽部 佐野支部 クマちゃん通信員より】
 神社は、鹿沼足尾線を鹿沼方面に向かい、東武日光線樅山駅付近を左に入った所にあります。安政4年の狛犬が迎えてくれました。天明元年に奉納された「一輪車」と云うものがありました。初めて見るものです。鳥居は寛政2年のものです。額束の裏に年号が書いてあるのは、初めて見ました。
 この神社は、「泣き相撲」が有名で、テレビでも毎年取り上げています。今年も9月24日、雨天決行で行われるとポスターが貼ってありました。

 生子神社の創建は神亀3年(726)で、安産・育児の守護神として知られています。昔は籾山明神と称していましたが、天文18年(1549)、ある氏子の子供が死亡した時に、神社に3日間の祈願をしたところ蘇生したということから、「生子神社」と改称し、現在に至りました。主祭神は瓊々杵尊です。
 国の選択無形民俗文化財「生子神社の泣き相撲」が、毎年9月19日(日曜ではないときは次の日曜)に行われています。「泣く子は育つ」の縁起を担いだ習俗が奉納相撲に取り入れられたもので、全国でも珍しい奇習の一つです。泣き相撲は文久年間(1861〜)にはすでに行われており、境内の土俵に、役員氏子がまわし姿の力士に扮し、東西の土俵から幼児を抱きかかえ、掛け声と共に、頭上高く振り上げて取組ませ、先に泣いたほうを勝とする行事ですが、現在では、両方に勝ち名乗りをあげています。

神社入口 鳥居の額
屋根付きで素晴らしい龍が
周囲に彫ってあります。
参道の様子。奥は階段になっています。 拝殿
安政4年(1857)生まれの尾下がり狛犬。
威厳のある良い顔つきで、耳が肉厚、頬が豊かです。
全体が纏まり、均整がとれていますが、
石質のせいでしょうか、吽の前脚などに剥落が見られます。
(安政4年(1857)建立)
拝殿正面を左右から。沢山の奉納目録が張り出してあります。
拝殿の額
 
本殿覆い屋 本殿
天明元年に奉納された「一輪車」
またの名を「後生車」「菩提車」とも云い、卒塔婆の一種で、
通る人に塔婆にある輪を回してもらうことで、
供養になるといわれていましたが、後に変化して、
願い事をする時に廻す車となりました。
私はこの車を見た時、すぐにネパールで見た
チベット仏教の「マニ車」を思い出しました。
ネパールでは、「心身込めてマニ車を回せば、回した分量の
真言を唱えたことと同じ功徳がある」と言われています。
境内社。紅い屋根は愛宕神社。
境内社、ご神木、板碑 境内の様子。
右奥が「泣き相撲」が行われる土俵です。
狛犬の拡大写真と
「泣き相撲」の紹介はこちらで