三島宮

賀茂郡南伊豆町妻良(平成18年10月7日)

 この神社は松崎から下田へ向かうべく国道136号線を走っていて、偶然道路の右側に神社があり、尚かつ狛犬がいるのが見えたので、急遽運転者にお願いして止まって貰い、参拝した神社です。境内は二段になっていて、下の境内には、入口に狛犬と白木の明神鳥居が建ち、正面に大きな拝殿が建っています。その左脇には嘗て戦国時代に武勇でならした北条水軍・妻良衆が身体鍛錬のため、担ぎ差し上げていた力石が置かれています。拝殿背後の階段を上がると、すぐに欄間、挙鼻、木鼻などに彫刻の施された弊拝殿。その弊拝殿内にはまだ彩色が残るこけら葺き一間社流造りの本殿が建っています。狛犬も入口、階段途中、弊拝殿内、先代と4対もいて、私を大いに堪能させてくれました。
 案内は北条水軍・妻良衆の事のみで、由緒書きはありませんでしたが、妻良衆の力石が戦国時代に使用されていたと言うことですし、少なくともそれ以前の創建と思われます。三島市・三嶋大社からの分霊勧請と思われますので、御祭神は事代主神と大山祇神でしょう。

神社入口 拝殿
昭和12年生まれの狛犬。
元々こういう石を使ったとも思えませんが、まだ70年しか経っていないのに
身体の一部が風化したようにざらついています。
それが貫禄にもなっていますが、砂岩の宿命、
早晩せっかくの彫りも分からなくなってしまうのでしょう。
江戸型の狛犬で、優しさを湛えた丸顔、垂れ耳、鬣を風になびかせ
姿勢良く座り、尾は低い位置で左右に流しています。
(石工・村田信太郎 村田一之助  昭和12年12月吉日建立)
北条水軍妻良衆の力石
戦国時代に武勇でならした水軍妻良衆が
身体鍛錬のため、担ぎ差し上げていた石と
言うことです。
拝殿裏からの弊拝殿への階段
弊拝殿への階段脇にいたしょうわ狛犬
弊拝殿 弊拝殿挙鼻の龍と鷺?の彫刻
弊拝殿左右の木鼻は狛犬と象、挙鼻は鳥。
弊拝殿左右の欄間には波間に鶴?の様な鳥が彫られています。
弊拝殿内の本殿。彩色が残るこけら葺き一間社流造りです。
扉脇には随神を侍らせ、階段下両脇では青銅製の狛犬が社殿を護っています。
阿吽が反対位置にいて、阿は宝珠を、吽は角を付けている、青銅製の力強く若々しい狛犬です。
耳は厚く垂れ、鬣は大きく渦巻いており、尾は先でいくつにも別れているようです。
弊拝殿には細かい格子が施され内部が暗いため、いつも撮影助手をしている私には
手に余る撮影現場でしたので、一部手ぶれを起こしてピンボケした写真がありますが、ご容赦を。
弊拝殿脇右側に、社殿に対して後ろ向きの先代さんがいました。
阿吽が反対位置で、相当摩耗しており、前脚は欠損、阿の下顎はなくなり、尾は取れています。
その後に綺麗な穴が開いているのですが、「尾は寄せ木造りの様に別に造るのかしら?」
と疑問がわいてきました。
犬のような顔つきで垂れ耳、鬣が短く二段に切りそろえてあります。
後ろ足も彫りが浅く、小さめで、結構古い物かも知れません。
崖上の末社群 境内左の神輿庫