八幡神社

伊豆市小土肥707(平成18年10月7日)

 今夜の宿泊地・土肥の旅館へ向かうべく17号線・沼津土肥線を南下していたら、お囃子が聞こえ、祭礼支度の人たちが三々五々集合してきているのが見えました。そこで一旦は素通りし、年老いた同乗者を宿に送り届けてから、再度1.8km程バックして小土肥温泉すぐの小土肥大川左岸に鎮座している八幡宮へととって返したのでした。

 入口両脇には露店が並び、御神燈には浮世絵の美人画が描かれています。鳥居にも華やかな飾り付けがされ、お囃子が賑やかに奏される中、氏子さん達が楽しそうに参拝したり歓談したりしています。ビックリしたのは、境内に建つ幟旗を飾る「飾り柱」、両脇と前方に竜虎と戦う人物と尾長鳥と思われる精緻な彫刻が施されています。後で聞いたお話では、この村からは江戸時代末期の名棟梁、名彫刻家・石田半兵衛が輩出され、本殿などもこの方が造営されたようですので、もしかしたらこの飾り柱も石田半兵衛さんが造られたのかも知れません。因みに、ここ土肥の地からは、名棟梁、名彫刻家といわれる人たちが沢山輩出されてきた、伝統的に社殿造営の技術が受け継がれてきた土地柄のようです。拝殿には龍や狛犬の彫刻が施され、屋根には瓦材の飛び狛ちゃん、本殿は江戸時代造営で、総欅造りの立派なものです。ここにも両脇に精緻な彫刻が施され、緑と青の岩絵の具で彩色された神殿狛犬に護られていました。祭礼は現在は3年に一度の開催だそうで、皆さんこの日を待ちこがれていらっしゃったようです。

 ここの氏子さんはご親切な方達ばかりで色々教えていただきましたが、創建は平安期、三嶋大社からの分霊勧請ということでした。そして、拝殿内にいらした松本さんが詳しい由緒書きを送って下さると言うことなので、後ほど詳細を補足することにいたします。

神社入口 鳥居の額「八幡宮」
鳥居の華やかな飾り付け 御神燈裏側の絵は龍です。
神楽山車 神楽殿
幟旗を飾る「飾り柱」左右から。殆ど祭礼時に参拝の経験が無く、
この様な飾り柱を見たのは今回が初めてです。
賑々しく飾られた拝殿 この村から輩出された江戸時代末期の
名棟梁、名彫刻家・石田半兵衛が
精魂込めて造営した本殿
拝殿屋根にいた瓦材の飛び狛ちゃん。
精悍な顔つきのいい狛犬ですが、吽の尾が取れています。惜しい!
拝殿の挙鼻は柔和な顔の龍です。
拝殿の木鼻狛犬。久しぶりに力強い凛々しい狛犬に会いました。
木鼻狛犬の伝統に法った、生き生きとしたとても出来の良い彫刻です。
本殿を護る木彫神殿狛犬。江戸時代後期以降建立されたのでしょうか、
所謂、関西系の古い神殿狛犬とはかなりかけ離れています。
どちらかというと石像狛犬と形態的には殆ど変わりません。
彩色が綺麗に残り、包容力のある優しい狛犬さんです。
せっかく禰宜さんが「拝殿内に上がっても良いですよ。」と許して下さり、
本殿脇の見事な彫刻を撮影出来たのに、腕の悪い撮影助手(私)は、
手ぶれを起こしてピンボケの写真しか撮れませんでした。ごめんなさい…。
本殿脇の組木と木鼻狛犬 境内左に聳えるご神木・大銀杏
神楽殿では「三番叟」が演じられていました。 入口に派手な恰好をした男の子が三人。
「君たちも何かやるの?」と聞いたら
「おてもやんを踊るんだよ。」との答え。
記念撮影をさせて貰いました。