糺神社

安来市宮内町(平成17年11月27日)

 この神社は安来市の9号線の体育館前信号から安来公園沿いに東に入り、市営住宅を右折すると左側に鎮座しています。
 出雲国風土記には記載されていませんが、創建は古代に遡る古社だそうです。御祭神は大名持命外二柱を祀っています。道路から境内や社殿がよく見える開放的な神社ではありますが、周囲の緑深き杜の存在によって、落ち着いた佇まいとなっています。
 ここは「月の輪神事」といわれる神仏混交の祭りが有名で、この神事のおこりは、風土記に記載された安来郷の長である語臣猪麻呂(かたりのおみいまろ)が、娘の命を奪ったワニザメを退治した伝説だと言われています。8月14〜17日まで、月の輪という三日月型の行灯に2本の紙幡をたてたものを女性たちが掲げて歩き、男性は長い竿に弓張り提灯をつけたものをもって歩くという神事です。その原形ができたのは、江戸時代中頃で、それまでは、毘売塚(ひめつか)の山麓付近で村人たちがかがり火をたいて、どぶろくを飲み、踊りをして慰霊祭をしていました。元禄年間(約300年前)に現在のように街を練り歩くようになり、大念仏と呼ばれ神仏混交の祭りとなりました。この頃出雲地方に度々大風水害があり、安来でも疫病が流行しました。そのため加茂、糺神社に語臣猪麻呂の娘(比売)の慰霊と共に、厄除けの祈願と「永代願」の願掛けとなりました。その後も天災による飢餓や疫病が流行するたびに、月の輪神事への祈りは一層盛んとなり、近郷からも病気が治るように願かけをするようになったと云うことです。

道路に建つ大鳥居 銀杏の大木
昭和12年生まれの出雲丹後狛犬。阿は顎が欠けてしまいました。
(昭和12年5月吉日建立)
随神門 拝殿
立派な大社造りの本殿 境内から見た道路の様子
昭和59年生まれの出雲丹後狛犬
(昭和59年9月吉日建立)
建立年不明の出雲丹後狛犬。この神社は珍しく3対とも出雲丹後です。
狛犬の感じや台座の造りから江戸末期か明治期のものと思われます。
ギョロ眼で鬣の巻き毛が目立ちます。