松江市乃白町(平成17年11月26日)
この神社は松江市街地から24号線を南下し、乃白バス停が過ぎたら右折し、左に福正寺を見て先に進むと、右手に鎮座しています。出雲国風土記に「野代(ぬしろ)社」、延喜式に「野白神社」と記載されている古社です。古くは田和山にありましたが、尼子の時代に現在地へ遷座。明治までは、鎮座地であった舳田(ともた)山から友田大明神と呼ばれていました。御祭神は猿田彦命、天鈿女命です。
道路端に式内社と書かれた大きな自然石の社号標が建ち、階段途中には神門、上の境内には立派な社殿が建っている、景色の良い神社でした。境内社にはタタラ場や鍛冶屋で信仰されている神である金屋子神社や、紙祖神である天目鷲命を御祭神とする穀木(かじき)神社があります。穀とは「古語拾遺」に「天日鷲命の孫が、木綿(ゆう)及び麻、並びに織布(あらたえ)を造る。よって天富命をして、天日鷲命の孫を率いて、肥饒地(よきところ)を求め、阿波国に遣わして、穀(かじ)、麻の種を植えさせた。」とあり、ここに書かれた穀とは楮(こうぞ)の事で、木綿はこの穀の皮を細く裂いたものですが、これを織ると栲布(たくぬの)となり、これは紙の原料にもなり、この功績により天日鷲命が紙祖神になったと思われます。