伊古乃速御玉比売神社

比企郡滑川町伊古 (平成21年7月5日)

東経139度20分34.53秒、北緯36度04分15.59秒に鎮座。

この神社は、武蔵丘陵森林公園の西3km程の辺り、伊古の丘陵地帯に鎮座しております。

昔は二ノ宮山上にあつたが文明元(1469)年当地に遷座したと伝える。
第六十代醍醐天皇は藤原忠平に命じて延喜式を編さん、武蔵国で四四座を数えた。その中の一社で県内でも古社の一つで、比企総社となっている。
境内全域に自生する樹木は、南半部にアラガシを主とする暖帯常緑樹、北半部はアカシデ、ソロを主とする温帯落葉樹で両帯樹が相生していて学術上きわめて重要なため、県指定天然記念物である。
段を登りきったところにそびえ立つ御神木「ハラミ松」は箭弓安産の祭神と相まって近年でも広く信仰がなされている。
滑川町観光協会
滑川町教育委員会

滑川村伊古乃速御玉比売神社社叢
ふるさとの森
昭和55年3月25日指定
身近な緑が、姿を消しつつある中で、貴重な緑を私達の手で守り、次代に伝えようとこの社叢が「ふるさとの森」に指定されました。
社叢は、神社の歴史的遺産と一体となり、本県でも有数のふるさとを象徴する緑です。
アラカシ・アカシデを主とした暖帯林の中に針葉樹のモミが混生しているところに社叢の特徴があります。
境内の西側にはアカシデ・イヌシデ、北側にはモミ、南東にはアラカシが、それぞれ生育しています。
今後も皆様の手でふるさとの森を守り、育ててくださるようお願いいたします。
埼玉県

由緒書や社叢の説明、原文はこちら。

大変分かり辛い説明です。御祭神が書いてありません。しかし、御神木「ハラミ松」は箭弓安産の祭神と相まって・・・とご利益のみ書いてあります。神社名から想像すれば「速御玉比売命」だが、新編武蔵風土記稿によれば、江戸時代は淡洲明神と称されていたそうです。地図を見ると近くに淡洲神社とか阿和須神社とか大雷淡洲神社等等が見つかります。勝手な想像をすれば、江戸時代は隣の「圓光寺」が別当で、寺の中に淡洲明神が祀られていたと思われます。埼玉県で、溜池がもっとも多数存在するここ、滑川町。淡洲明神は水の神だったのではないでしょうか。水天宮も元々は水の神ですが、一般的には安産の神として多数の参拝者を集めています。

水天(すいてん)とは、仏教における天部の一人で、須弥山の西に住んでいるとされる。十二天の一である。水の神であり、竜を支配するとされる。

もともとはインド=イランの古いアスラ族のヴァルナである。 諸ヴェーダにおいて、ヴァルナは重要な位置に置かれ、天空神・司法神(=契約と正義の神)・水神などの属性をもたされた。ヴァルナは西方ではアフラマズダとなりゾロアスター教の最高神となる。しかし東方ではブラフマン(梵天)に始源神としての地位を奪われており、さらに後には死者を裁くヤマ神に司法神としての地位を奪われ、水神としての属性のみが残った。仏教に取り入れられた頃は、仏教における十二天の一つ、西方を守護する「水天」となった。

日本においては、神仏習合時代に「水」の字つながりで「天之水分神・国之水分神」(あめのみくまりのかみ・くにのみくまりのかみ)と習合した。水分神は本来は子供とは関係なかったと思われるが、「みくまり」の発音が「みこもり」(御子守り)に通じるというので、水天は安産・子育ての神・子供の守り神として信仰されるようになった。神仏分離の際、ヴァルナ神のもともとの神格が最高神・始源神であることから、記紀神話における始源神・天御中主神に当たると解釈され、水天を祀る水天宮の祭神は天御中主神に変えられた。また、安徳天皇が在位のまま入水したことから水天皇と呼ばれ、水天と同一視された。
『ウィキペディア(Wikipedia)』より。

水の神は安産・子育ての神に変質するようです。また、比企総社の意味も良く分かりません。

圓光寺沿革
巖正山圓光寺と号し、開山は寺伝によれば正嘉年間(1257〜1258)で鎌倉の建長寺より遅れること3年と伝え、『延嘉式神名帳』に記載されている伊古乃速御玉比売神社(武蔵の国の二の宮であったと伝説がある)の別当職として明治維新まで数百年に渡り信仰を集めてきた。中興秀海尊者により江戸時代初期かなりの堂宇を誇った模様である。
新編武蔵風土記稿によれば、東叡山(上野寛永寺)の末寺にして阿弥陀如来を本尊と拝すとあるが、現在の本尊は釈迦如来であり、江戸後期の火災により消失、再興後変わったものと考えられる。
現住職で56世の法灯を守り、不動明王・元三大師を祭り、厄除祈願などで正月3ヶ日は賑わう。また、中武蔵七十二薬師の七十一番札所として病気平癒の願いの参拝も多い。

神社遠景

鳥居と社号標。由緒書や社叢の説明等、大変結構なのですが、もう少し離しても良かったのではないでしょうか。

参道

拝殿

本殿覆屋

社殿全景

天満天神社

金刀比羅神社