両子(ふたご)神社

多久市東多久町納所2746(平成23年11月2日)

東経130度10分7.49秒、北緯33度15分9.26秒に鎮座。

 この神社は両子山(標高366m)東山麓、納所小学校の南西約300mに鎮座しています。両子山は権現山とも云い、山頂には上宮の両子大権現が祀られています。古代から開けた地域で、山の周辺一帯は、縄文・弥生・古墳各時代の遺跡が多く、ミカンやビワの果樹園が多い地域です。
 参道の入口には明暦2年(1656)に建立された市重要文化財・肥前鳥居が立ち、参道脇には道の神・猿田彦大神が祀られています。大きな森の中、石段参道を上がっていくと、途中に「山王大権現」と書かれた額を掲げる市重要文化財・二の肥前鳥居や三の鳥居が建立され、境内に上がるとすぐ目の前に、御神馬像が置かれています。
 境内は清々しく、大正4年生まれの狛犬が護る唐破風付き入母屋造りの拝殿、その後ろの透かし塀内に流造の本殿が建立されています。又、透かし塀内で見にくいのですが、本殿脇には市内最大の肥前狛犬が居て、変わった所では、三代の寅年生まれの人達が奉納した「緑色の虎」が居て度肝を抜かれました。
 

 御祭神:熊野大権現、日吉麿王権現
 祭礼日:10月19日
 境内社:猿田彦大神、太良嶽大権現、幸神
 由緒:天徳元年(957)、秋田宮内大輔豊定が勅命によって納所に赴任する時に熊野大権現を勧請して創建した熊野権現社と、長徳元年(995)豊定の子、秋田納所次郎豊次とその子、豊忠が慈恵大師の弟子、法印叡弘に依頼し、近江坂本(滋賀県大津市)の日吉麿王権現を勧請して両子山山頂に創建した両子山王権現(のち参詣が困難なため現在地に移転)が明治43年合併して現在の両子神社となった。戦国時代には龍造寺氏との結びつきが深く、龍造寺氏による絶大な支援を受けていた。(多久市歴史民俗資料館発行「多久の肥前狛犬」より)

 両子山大権現上宮は本来東山麓の納所の方が祀っていたもので、山頂は険阻で参拝が困難なので、納所に下宮が建てられた。天徳元年(957)紀州の藤原豊定が肥前に下国のとき、熊野十二所権現を勧請したと伝える。さらに長徳元年(995)豊次が近江坂本の山王権現を勧請し、両子山大権現とした。明治になって熊野権現と両子権現は合祀され、両子神社となった。(サイト「山岳信仰の山2000」より)

社頭
参道入口に立つ市重要文化財・一の肥前鳥居
参道の様子
猿田彦大神 猿田彦大神
石段の参道
石段途中に建立されている市重要文化財・二の肥前鳥居 鳥居に掛かる額「山王大権現」
石段参道
石段途中に建立されている三の台輪鳥居 鳥居に掛かる額「両子神社」
境内入口
参道左右に置かれている御神馬像
(大正6年(1917)12月吉日建立)
境内の様子
拝殿前、大正4年生まれの狛犬
厳つい中にも落ち着きと優しさが感じられる顔、細身の身体ながらやや太めの足や瘤が筋肉質な力強さを感じさせる、剛柔両面を併せ持つ不思議な魅力を持った狛犬です。
狛犬の拡大写真はこちらで
(石工・江頭友吉 大正4年(1915)5月吉日建立)
拝殿
透かし塀と本殿
 透かし塀が巡らされた神殿に奉納されている一対の狛犬は、市内最大の肥前狛犬である。神殿に登る階段の右側に阿像を、左側に咋像を配置している。石材が軟らかなため風化が進行して丸みをおび、部分的には損傷している。
 阿像は前肢が外側に開き、正面形は三角形の胴部に頭部を載せた形状である。顔全体は仕上げが荒いのか、ゴツゴツした感じである。頭部は丸みを持ち、角の突起は持たない。たて髪は、頭部側面に縦の線を彫っていることから梳き毛と思われる。額の部分を横にV字状に彫り窪め、隆起した眉に浮き彫りした目が接している。大きな団子鼻が正面を向き、口は顔一杯に大きく開いている。太い前肢は直立し、なかほどに節を造っている。前肢間は直線で胸部と区分し、その下はやや深めに彫り窪めているが、前肢間は連結している。背は頭頂部から斜めに直線で下がり、背稜は持たない。大きく安定した臀部の最下部に横向きに短い尾がついている。
 吽像は、正面形や側面形はほぼ同じであるが、部分的に相違点が見られる。目や鼻・口は風化のためか輪郭がはっきりしない。前肢間は顎下から地着部まで段を持たずに窪め、足先部分だけは独立し、内湾している.前肢と後肢の間は浅彫りで連結しているが、浅彫りした部分は変形の三角形または台形の縁取りがなされている。尾は殿目部の中央に丸い突起をつけている。(この狛犬の解説は多久市歴史民俗資料館発行「多久の肥前狛犬」より引用させていただいています。)
狛犬の拡大写真はこちらで
御堂
石仏、大黒様、石祠 石祠
幸の神、石祠 石祠、太良嶽大権現
石祠 石祠
石祠 石碑
樹齢420年のご神木・クスノキ
樹齢420年のご神木・シイ
緑色の虎
本来ならば、この社には拝殿前、本殿脇の狛犬の他に、境内入口に下記の肥前狛犬がいるのですが、只今、多久市郷土資料館にて「多久の肥前狛犬展」開催中につき、出張中でした。
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