松原神社

佐賀市松原2-10-43(平成23年8月8日再訪)

東経130度18分17.51秒、北緯33度14分54.89秒に鎮座。

 この神社は佐賀駅から南へ約1.5km、佐嘉神社と共に旧佐賀城跡のお濠の北側に鎮座しています。
 この社の入口は松原川が流れる東側で、商店街を抜け、鳥居を潜り、神橋を渡ると、目の前には清々しく明るい境内が広がります。推定樹齢約600年のご神木・大楠等が聳える神社周辺部、左手には白磁の鳥居やレトロなお手洗い、先代の狛犬が居り、境内社等は右手に配されています。
 参道左右には狛犬が二対、御神馬像が置かれ、回廊と一体となった神門左右には、肥前陶工傑作の灯籠や手水鉢が展示されています。神門内境内にもお洒落な狛犬が居り、正面には唐破風付き入母屋造りの大きな拝殿、奥に一殿二座の本殿が建立されています。

 御祭神北座三柱・従五位下 山城守龍造寺隆信命、従四位下 肥前守龍造寺政家命、従四位下 駿河守龍造寺高房命
      南座四柱・平右衛門尉 鍋島清久命、従三位 加賀守鍋島直茂命(佐嘉藩祖日峯様)、鍋島直茂室 彦鶴姫命、従四位下 信濃守鍋島勝茂命(佐嘉藩第一代藩主)
 祭礼日:例祭・4月11日、秋祭・10月11日 春秋のまつりを日峯さんと称し賑わいを呈す
 由緒:境内「松原神社由緒記」より
龍造寺御三神は延享2年(1745)正月佐賀城内に奉祀。天保5年(1834)佐賀郡北山小川村 現大和町惣座に神殿を造営し遷座、敷山社と称した。明治6年(1873)10月9日松原社に遷座。
 鍋島直茂命、安永元年(1772)6月1日松原神社奉祀、日峯大明神と号した。文化14年(1817)9月彦鶴姫命(直茂公室)、祖父清久命を合祀。明治5年 勝茂命を合祀。松原神社と号す。

(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)
 旧社格は別格官幣社。
 佐賀藩10代藩主鍋島直正と11代藩主鍋島直大を祀る。直正は藩政改革を行い、大隈重信・江藤新平らの人材を育成した。直大は戊辰戦争で官軍として戦い、明治2年には版籍奉還を申し出た。
 直正の歿後の明治6年(1873年)、直正の威徳を賛え、鍋島家の祖先を祀る松原神社に南殿を造営し、直正を祀った。昭和4年(1929年)、直正を祀る別格官幣社・佐嘉神社の創建が決定した。昭和8年(1933年)に現在地に社殿を造営し、松原神社の直正の霊を遷座した。昭和23年(1948年)、松原神社南殿に祀られていた直大の霊を佐嘉神社に合祀した。
 松原神社は別の神社として運営されていたが、昭和36年に佐嘉神社と運営を一本化した。
 安永元年(1772年)、鍋島家の始祖鍋島直茂を祀る神社として創建され、直茂の法号から日峯大明神(日峯宮)と称した。現在も「日峯さん」の通称で呼ばれる。この時代には、各藩で藩祖・祖先を祀る神社が創建されていた。
 文化14年(1817年)に直茂の祖父・清久、直茂の正室・彦鶴姫を合祀した。明治5年、初代藩主・勝茂を合祀し、「松原神社」に改称した。
 明治6年(1873年)、元からあった本殿の北と南に新たに神殿を造営し、南殿に10代藩主鍋島直正を、北殿に鍋島氏以前に佐賀を治めていた龍造寺家の隆信・政家・高房を祀った。元からあった本殿は、これ以降「中殿」と称されるようになった。大正12年(1912年)、南殿に、2年前に歿した11代藩主鍋島直大を合祀した。
 昭和8年に佐嘉神社が造営され、南殿の鍋島直正の霊を遷座した。昭和23年、南殿の鍋島直大の霊も佐嘉神社に遷座し、南殿は廃止された。昭和38年、松原神社本殿を改築し、中殿・北殿を一つにした。

松原神社公式サイトはこちら

社頭 一の鳥居
松原川に架かる神橋
神社を取り囲むように北・東に流れる松原川の様子
境内全景
肥前の陶工による白磁の鳥居
なんとこの素晴らしい洋風建築が【公衆トイレ】にはビックリ。
佐賀の人はなんと気の利いたお洒落さんなんでしょう。
神社東、松原川の畔に置かれている先代狛犬
阿は口中に玉を含む塩田型の狛犬ですが、風化が激しく表面の剥離が進んでいます。穏やかな顔つきで肋骨が浮かぶスマートな身体に獅子紋が浮き出ています。鬣や尾の長い毛筋が鮮明で綺麗にそろっています。
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参道の様子
参道途中にいる天保5年生まれの狛犬
阿は口中に玉を含み、太く二段に分かれた眉、丸い奥目、大きな鼻と牙が目立つ幼児体型の可愛い狛犬です。鬣の渦や羽のような脇毛や臑毛が装飾的な効果を見せています。
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(天保5年(1834)甲午3月吉日建立)
御神馬像
参道脇に並べて置かれている安永6年生まれの狛犬
阿は口中に玉を含み上向き、吽は項垂れているような変わった造りで、お腹の下が刳り抜かれていない、はじめ進化形の狛犬です。非常に滑らかな体表と、儚げな顔つき、柔らかい鬣や尾の表現から、女性的な感じを受けました。私としては大好きなタイプです。
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(安永6年(1777)丁酉6月吉祥日建立)
参道の様子
回廊前の手入れが行き届いた立派な松・三本
神門
神門と続く回廊に置かれている手水鉢
神門と続く回廊に置かれている肥前陶工傑作の灯籠
神門内境内の様子
神門内境内にいる明治6年生まれの狛犬
足下から身体に掛けて華やかな牡丹を身に着けている華麗なる狛犬です。きりっとした眉毛に整った顔立ち、伏せ耳の後ろには鬣の渦が広がり、尾も複雑に絡んだ精細で華やかな造りです。細身ですが、筋肉を表す瘤がしっかりと残っている、しなやかで俊敏そうな素晴らしい狛犬です。
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(石工・田中良平 明治6年(1873)癸酉9月建立)
拝殿
拝殿内の様子
一殿二座の本殿屋根と正面
社殿左側に建つ建物・参拝者控え所?
推定樹齢約600年のご神木・大楠
推定樹齢約600年のご神木・大楠