海童神社

杵島郡白石町深浦856-1(平成23年8月7日)

東経130度7分29.53秒、北緯33度7分59.55秒に鎮座。

 この神社は207号線に入口があり、社地のある辺りは嘗ては有明海に突き出した岬(崎)の突端で竜王崎と呼ばれており、その背後には5世紀から6世紀にかけての古墳群が点在している、古くから開けた地域です。
 207号線を走っていると小丘上に大きな森があり、入口に鳥居が建立されています。ここが平安時代から海上交通の守り神として信仰を集めている海童神社で、石段の参道を上がっていくと左手の斜面に推定樹齢600年以上の県天然記念物・大楠が威容を誇って聳えており、その存在感に圧倒されます。
 境内では其の楠の枝葉が陰を作り、左手に明治生まれの狛犬が護る唐破風付き入母屋造りの拝殿、流造の本殿が建立されています。本殿右奥に境内社の石祠が纏められ、石段を上がった先に龍王崎古墳群の遺跡があります。

 御祭神:豊玉彦、豊玉姫、埴安姫
 祭礼日:10月1日(八朔)・例祭(面浮立・獅子舞)
 境内社:稲荷神社他
 由緒:豊玉彦、豊玉姫、埴安姫の神を祀る海童神社は、古く一条天皇の御代(平安時代)に創祀されたと伝えられ、海を守る神、五穀豊穣の神として、ここ龍王の崎に鎮座されてより、私たちの祖先によって、今日まで絶えることなく守り継がれて来る中で、時には時勢に流され、時には藩の庇護を受けながら、今日まで氏子崇敬者を守護し給うたお社である。
 文化3年に再建された茅葺きの拝殿、それ以前に建立されたと思われる御神殿も、近年老朽化が激しく、…中略…浄財の寄進を得、御神殿の改修、中殿、拝殿の新築を成し遂げることができた。
 …後略…。

社頭
入口に立つ明神鳥居 鳥居に掛かる額
境内へと続く石段の参道
境内入口
境内の様子
拝殿前、明治31年生まれの狛犬
温厚な顔立ちの、整然と纏まった感じ狛犬です。けれど惜しいことに、剥落が激しく、吽のお腹の下に剥がれた大腿部の残骸が置かれています。
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(明治31年(1898)戌9月吉日建立)
拝殿
本殿
稲荷大明神などの石祠 レリーフの石仏が彫られた石祠

県天然記念物・大楠
推定樹齢600年以上、根回り24.5m、樹高19m、枝張り南北22.5m
この大楠は、石段参道を上った境内手前の左側の斜面にあるため、根が剥き出しになっており、又、根元近くで3本の主幹に分かれているので、見上げると奇妙な姿をした壁のように立ちはだかって見え、その存在感に圧倒されます。枝張りは石段に沿って下方に下りていると共に、上方では境内を覆う様に枝葉が広がり、まさに「竜王崎の主」ともいえるこの大楠は、神域の神寂びた雰囲気を一層盛り上げ、その威容を見上げる人々に、悠久の歴史を考えさせる良い縁となりそうです。
推定樹齢600年のご神木・大楠
社殿右側に聳えるご神木

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