泉殿宮

吹田市西の庄町10-1(平成24年1月4日)

東経135度31分12.28秒、北緯34度45分27.3秒に鎮座。

 この神社は阪急千里線・吹田駅の北約100mに鎮座しています。市街地の中にありますが、ご神木の大楠が目立ちます。
 入口には御祭神の案内板、神明鳥居、社号標が立ち、石畳の参道脇に灯籠、正面に狛犬が護る千鳥破風付きの拝殿、流造の本殿が建立されています。本殿左には今は役割を終えた史跡・泉殿霊泉があり、右には日本万国博覧会会場建設の地鎮祭・立柱祭に使用された元柱が祀られています。
 又境内には神産巣日大神、奇稲田姫神、大国主大神を祀る合社、社殿彫刻が素晴らしい戎神社、朱の稲荷鳥居がシンボルの稲荷神社等が点在しています。
 又、過去にはこの社の宮司さんが天保8年(1837年)に起こった大塩平八郎の乱で首謀者の一人と疑われ自害…という痛ましい出来事もあったようで、改めてこの事件の詳細を調べたく思いました。

 御祭神:正殿・建速須佐之男大神、宇迦之御魂大神、相殿・春日大神(天児屋命)、住吉大神(底筒男之命・中筒男之命・」上筒男之命)、天香山命
 祭礼日:歳旦祭・1月1日、えびす祭・1月9日宵えびす 1月10日本えびす 1月11日残り福えびす、神符〆縄焼納神事・1月15日、節分厄除大祭・2月節分日、稲荷祭・4月3日、春大祭・5月3日、夏越の祓・6月30日、夏大祭・8月2・3日、秋大祭・10月2・3日、〆縄奉製神事・12月13日、大祓式・12月31日
 境内社:神産巣日大神、奇稲田姫神、大国主大神、稲荷神社・豊受大神、戎神社・蛭子大神
 由緒:当宮往古は、次田ノ社と称え奉り、河内の次田連の祖神 天香山命を氏神として、五穀の神「宇迦之御魂大神)」[伏見稲荷大社の御祭神]を祀る。第56代清和天皇貞観11年(西暦869年)当地久しく旱魃、草木は色を変じ、大河の流れも通わず、天下疫病流行し、諸民悉く枯渇に苦しむ。播磨(姫路)の広峯神社より王城鎮護の守り神として[祇園八坂神社]の御祭神として迎えられる「建速須佐之男大神」]の御神輿が、しばらく当宮にお立ち寄りになられた。大神に祝詞を奏上し、獅子頭を激しく振り、歎きを告げ、篤く雨を祈ると、忽然と清泉土中より湧漲した。立ち処に、里人渇を免がれ、田畑隈なく潅水した。よって、建速須佐之男大神を勧請し相殿として斎き祀る。この雨乞いの状と雨を喜ぶ童子の姿は、吹田市地域無形民俗文化財の「泉殿宮神楽獅子」の所作となっている。
  当宮は、国家権力の保護を求めない庶民信仰に支えられたる諸社にして、創祀以来、氏子の信倚のもと、代々藤原姓南家「宮脇家」祀職を奉仕するところ、天保8年(西暦1837年)大塩平八郎義兵の挙あり、当宮第32代宮司・宮脇志摩は、大塩平八郎の叔父に当たり、乱の主謀者として寺社方捕手役人の囲みに、この地にて切腹。課刑峻烈にして、男児悉く遠島、家門闕所となり、社運も傾くかに見えたが、明治維新と共にその義挙を認められ、流刑地に生存の遺児総て赦免・出島仰せ付けられ、家門再興、宮脇志津摩・泉殿宮第33代宮司を嗣ぎ、社運再び赫赫として今に到る。
(「泉殿宮公式サイト」より)

神社入口
入口に立つ神明鳥居 社号標
参道・境内の様子
拝殿前、文化6年生まれの狛犬
阿は垂れ耳、吽は角があり立ち耳です。横に大きく開かれた口蓋は微笑みを感じさせ、後ろ脚太腿の立体的で切り取られたような造りが独創的です。とても出来の良い狛犬ですが、耳の欠損や剥落が残念です。
狛犬の拡大写真はこちらで
(文化6年(1809)己巳5月建立)
拝殿 正面と側面から
拝殿正面に飾られた獅子頭と神名案内板
本殿

史跡 泉殿霊泉 入口
泉殿霊泉
第56代清和天皇貞観11年(869)当地久しく旱魃、草木は色を変じ、大河の流れも通わず、天下疫病流行し、諸民悉く枯渇に苦しむ。播磨(姫路)の広峯神社より王城鎮護の守り神として祇園八坂神社の御祭神として迎えられる建速須佐之男大神の御神輿が、しばらく当宮にお立ち寄りになられた。大神に祝詞を奏上し、獅子頭を激しく振り、歎きを告げ、篤く雨を祈ると、忽然と清泉土中より湧漲した。立ち処に、里人渇を免がれ、田畑隈なく潅水した。
その後、鳥居を築き 「泉殿霊泉」と称え厚く崇敬を集める。
明治22年(1889)に「泉殿霊泉」より湧きだす水をドイツミュンヘンに送り、これビール醸造に適水との保証を得、当宮隣接地に同水系の湧水を以って、東洋初のビール醸造工場(現、アサヒビール叶%c工場)建設の逸話がある。
その後、近隣の都市化に伴い上水道は普及し、かつての広々とした水田がほとんど姿を期したのを見届けるかのように、昭和30年代後半に、霊泉は地中奥深くに水脈を移し、今は、湧水していない。
境内社:戎神社拝殿
戎神社本殿
戎神社本殿唐破風上彫刻・龍
戎神社本殿唐破風下彫刻・鳳凰 麒麟
戎神社本殿脇柱彫刻・龍虎
神産巣日大神・奇稲田姫神・大国主大神 合社入口
合社を護る建立年代不明の狛犬
厳めしい顔つきの、滋賀・岐阜などの昭和初期建立作品として見かける狛犬に、よく似ています。
狛犬の拡大写真はこちらで
奇稲田姫神・神産巣日大神・大国主大神 社殿
境内社:稲荷神社 入口と鳥居
昭和35年生まれの神使い・お狐様
(昭和35年(1960)4月吉日建立)
豊受大神の額が掛かった社殿
立柱祭 元柱
昭和45年「人類の進歩と調和」をテーマに開催された日本万国博覧会会場建設の地鎮祭・立柱祭等、一連の祭典は、当宮宮司が斎主をお仕え申し上げた。祭儀に使用された元柱[木曽50年杉]は、当宮に奉建され無事成功を祈念してきた。 日本万国博が掲げた「科学の進歩と人間尊重の精神」が、永く受け継がれるよう、境内に祀られている。
ご神木・大楠
絵馬