村落石獅子

豊見城市真玉橋(平成20年1月27日)

東経127度41分51.92秒、北緯26度11分24.23秒に鎮座。

 この村落石獅子は漫湖東に架かる真玉橋南詰の、豊見クリニック東の329号線旧道角に西向きに置かれています。この石獅子は道路拡張によって場所の移動を余儀なくされ、現在地に移されたそうです。
 案内柱には「文化財を大切にしましょう。」とともに「イリヌ・シーサー」とこの石獅子名が書かれています。「イリヌ」とは「西の」という意味だそうで、旧集落域の西を護る役目を負った獅子の様です。因みに旧集落東にはもう一体の「アガリヌ(東の)・シーサー」が、東を向いて四つ足で立っているそうですが、残念ながら今回はパスしてしまいました。
 大きな口で鋭い牙をむき、眼光鋭く西方を睨む姿は、この地のほんわかと優しい感じの他の村落石獅子と比べると如何にも雄々しく、そのお役目を全身全霊を持って全うしているかに見えます。
 「イリヌ・シーサー」には昔話が残っていますが、それによると
 イリヌ・シーサーの視線の先、那覇市域小禄(鏡原)には「ガーナームイ」と呼ばれるこんもりとした小さな丘があり、戦前までこの辺りは国場川の流域内で、ガーナームイは川に浮かぶ小さな小島でした。
 その昔、漫湖(まんこ:国場川の異称)の畔に怪物が居て、夜な夜な近隣の村々を襲って、田畑を荒らしたり人を食べたりしていました。いよいよ真玉橋の部落も狙われ、村人達は恐れおののき天の神様に祈りました。すると天から大石が三個落ちてきて、怪物は尻尾を押さえられて動けなくなり、村人達はたいそう喜びましたが、用心の為シーサーを据えて見張らせるようになりました。やがて怪物は今のガーナームイになったと云うことです。
(ブログ「たうたうと流れ」参照)

獅子遠景 案内柱