村落石獅子

豊見城市根差部287付近 (令和2年2月28日)

東経127度41分39.95秒、北緯26度10分59.34秒に鎮座。

この石獅子は、豊見城市役所の北東1.5km程の辺り、根差部公民館のすぐ南側に置かれております。

字根差部のシーサーと三月遊び
集落に置かれるシーサー(石獅子)は、ムラの守り神として、外から入ってくる様々な邪気をはね返すために据えられ、その災厄をもたらすとされる対象【丘陵や森、ガマ(洞窟)など】に向け立てられていることが多い。根差部集落内にあるこのシーサーは、かつて漫湖に浮かんでいたガーナー森に向けて立てられたのだという。
昔、ガーナー森は大きな魔物で、真嘉部(真玉橋・嘉数・根差部)の人々を食べようと夜な夜な襲ってきた。村人が困っていたところ、天から3つの大きな石が降ってきて、魔物の尻尾を押え付けたため、魔物はそのまま動けなくなり湖面に浮かぶ小島・ガーナー森になったという。村人たちは神の加護に感謝し、ふたたびガーナー森が集落に襲いかかってこないよう、シーサーを置いたと伝えられている。ガーナー森はすっかり陸地になってしまったが、シーサーは今でも北西の方角の魔除けとして集落を守っている。
現在、シーサーはガーナー森への魔除けとしてだけではなく、信仰の対象として拝まれている。それは、女性たちによる拝みと祝宴の行事「三月遊び(サングヮチアシビ)」である。海に面していない根差部の三月遊びは、〈ノロ殿内〉等の大きな家々に女性達が集まり、日々の労働から離れ、余暇を楽しむ行事である。大正の初期までは旧暦3月3日〜3月5日までの三日間盛大に行われた。現在でも3月の吉日を選んで行われている。この行事では「シンムイ」という特徴的な供物が作られる。「シンムイ」は丸盆に饅頭を敷き詰め、その中に赤色に染めたねじりコンニャク15個を結んだツゲ(チギ)の枝をさした供物で、まず始めにシーサーにお供えし参加する女性達全員で祈願をする。その後、公民館前にて円陣を組んだ中、交代でシンムイを頭にのせて三月遊びの歌や舞いが賑やかに繰り広げられる。
字根差部のシーサーは、ガーナー森のある北西をにらみつつ、地域を見守る集落の守り神として、字根差部の方々に大切にされている。
境内由緒書き より。

遠景

根差部を護る石獅子。拡大写真はこちら。