(こう)八幡宮

倉敷市児島下の町7-14-1(平成21年8月21日)

東経133度46分33.62秒、北緯34度35分35.95秒に鎮座。

 この神社は琴浦中学校の南西約500mに鎮座しています。社頭からは大きな鎮守の杜が見え、鳥居から境内に至る参道は今時珍しい直登の未舗装の坂道です。
 境内入口には注連柱と随神門が建ち、昭和51年建立の大きな横拝殿(入母屋造)の後方、玉垣内に安永年間(1772〜1781年)建築の本殿が建っています。境内後方左右には沢山の境内社も祀られています。狛犬も参道入口、拝殿前、拝殿内とそれぞれ個性の異なった3対が見られます。
 また境内からは、遠くの島々の間に瀬戸大橋や、児島地域の町並み、瀬戸内海が眼下に眺められました。
 かなり広大な社地が綺麗に整備清掃されている、気持ちの良い神社でした。

 御祭神:譽田別尊、足仲彦天皇命、息長帶姫命、仲姫命、玉依姫命
 祭礼日:2月11日・祈年祭、5月第2土・日曜日・春祭り、10月第2土・日曜日・例祭
 境内社:塩竈神社、靖国神社遥拝所、熊野神社、荒神社、地神社、鴨神社・高良神社、若宮神社、鷺神社他
 由緒:創立年月は不詳であるが、大宝元年宇佐より勧請すと社伝にある。古来より今の倉敷市児島上の町、下の町、田の口、唐琴(旧4ケ村即ち鴻の郷)の総氏神として当地方に於ける信仰の中心であり、住民の心のよりどころとして崇められ、又国家鎮護の神、又厄除開運の神、殖産の神、更に近来は交通安全の守神として広く崇敬されている。当社は備前国総社神名帳所載の児島郡9社の1正5位八幡明神、即ち古社八幡宮で鎌倉時代は歴代国司の崇敬はもとより地方官民の崇敬を集めていた。
 当社の神宝「建武3年丙子正月29日慶尊」の銘ある狛犬1対は妙法院宮尊澄法親王讃岐国詫間に流される時、陸路児島を御通過の砌当社に御祈願した。後四国の兵を召具して御還啓の際、彫工慶尊に命じて之を彫らせて工成ってこれを寄進したものと伝承されている。
 吉備温故秘録に「この宮を鴻の宮と云ふ。昔当社に大蛇あり。又此宮山に鴻の鳥多く巣をかけ、宝殿も鳥の糞に穢し、その上参詣の人も鴻の雛のある時は恐れて怠たり又大蛇をも恐れて居たりしに、氏子共慨き神に祈りけるに如何にしてか氏神の鳥虫の為にさまたげられき跡は皷の音絶えて神さび渡るばかりなり。誠に神力あらたにましまさば此の難をのけたまえと祈りければ、その夜の夢に氏神現はれ出て汝等が祈る所至極なり。明日辰の一天に難を除くべし。汝等出で見るべし、と告げ給ふ。氏子共奇異の思ひをなり残らず神前に蹲居して心をすます処に神殿震動して大蛇一つ現れ出て鴻の巣かけたる大木に登りける間、互に暫し戦ふ所に鴻は次第に多く群り来り遂に大蛇をも突殺しけり。それよりしてこの宮を鴻の宮と云ふなり」とあり。
 この伝説よりして当鴻八幡宮の氏子区域即ち上村、下村、田の口村、引網村(現在の上の町、下の町、田の口、唐琴)を嘗て鴻の郷と云うに至る。昭和となって鎮座地元の唐琴町の発展と共に神社崇敬の実も挙り社務所神饌所神庫等を新築し、境内を整備し神社経営の基礎を固め、昭和19年県社に昇格した。終戦後世の中の安定するに随い氏子、民衆と神社の結びつきの一翼として結婚式の諸設備を完備し広く利用されていると共に、交通安全の守神として信仰を深めている。
 例祭の神賑、だんじり18台、千歳楽1台、おはやし7曲(岡山県指定重要無形民俗文化財)
(「岡山県神社庁公式サイト」より)

社頭
入口、文化5年(1808年)建立の明神鳥居 社号標
入口にいる建立年代不明の出雲構え獅子
風化が進み、剥落・欠損が目立ちます。
参道の様子
境内入口
注連柱と随神門
境内の様子
拝殿前、昭和3年生まれの狛犬
頭部が大きく、鼻がペちゃんと潰れていて目が細く、耳を後ろに流しています。正面から見ると優しそうな目つきで、牙と細く上顎にまで伸びた舌がチャームポイントです。
狛犬の拡大写真はこちらで
(昭和3年(1928)8月吉日建立)
拝殿
拝殿内の木製神殿狛犬
古色蒼然たる造りの堂々とした狛犬です。この社には後醍醐天皇の皇子・宗良親王が、元弘の乱により鎌倉幕府に捉えられ讃岐へ流される途中立ち寄り祈願し、鎌倉幕府滅亡後帰京の折に彫工慶尊に命じて彫らせ寄進したものとされている、建武3年(1336)の木製狛犬があるそうなのですが、この狛犬なのでしょうか?
狛犬の拡大写真はこちらで
安永年間(1772〜1781年)に造営された入母屋の本殿
境内向かって左側に祀られる境内社
境内社:塩竈神社 靖国神社遥拝所
境内社:熊野神社
境内社:荒神社 境内社:地神社
石碑前にいる先代さん
境内社:鴨神社・高良神社 石碑
境内向かって右側に祀られる境内社
境内社:若宮神社 境内社: 鷺神社
境内社 祭祀場
境内社 境内社?
境内から見える町並みと児島港
島々の間、遠くには瀬戸大橋も見えます。