湊稲荷神社

新潟市中央区稲荷町 (平成18年5月6日)

 この神社は稲荷町にある入舟小の南に鎮座しているのですが、地図に記載が無く、付近をウロウロし、何度も人に尋ねてやっとたどり着きました。ここはホテルのフロント係の方から「新潟で一番有名な神社、廻る狛犬が居る神社が湊稲荷神社」だと、夫が社名だけ教えて頂いていた神社です。
 湊稲荷神社冊子「願掛け高麗犬」によると、前川三城が神託により出羽国米沢より享保元年(1716)に遷座し建立したそうで、御祭神は倉稲魂神、大己貴神、大宮能売神、保食神、太田神です。
 昔、新潟沖を通る船は湊稲荷神社の森を目印に航路を決め、入港してからは海上安全、船運長久を祈願する神社として、海運業者、漁業者の尊崇を受けていたといわれています。また、入港した船の船乗りは大抵は花柳街で遊び、遊女たちは船の出帆を止め港に船止めするには西風に吹いてもらいたいと、湊稲荷の高麗犬を回して頭を西の方に向け、高麗犬に願を懸ける風習がうまれました。そこで、いつの頃からか「道楽稲荷」と呼ばれるようになったということです。
 逆風祈願の習俗は、全国的に見ても事例は少ないでしょうし、ましてや高麗犬にそれを願掛けする等とは、全国八万社の神社があっても、ここだけなのではないでしょうか。因みに、もちろん私達もそれぞれの狛犬を回し、しっかりと正反対のお願いをして参りました。 

神社入口と奥に社殿
平成7年建立の三代目・願掛け狛犬です。
回すのに結構力がいり、余計に霊験あらたかな感じがします。
(平成7年4月吉日建立)
年代不明の神狐さん。
足元を見ると、こちらも願掛けに使われているようです。
こんなににこやかな神狐さんも珍しいのでは…。
境内にはこんな掲示も
新潟市指定第一号有形民俗文化財・願掛け高麗犬の先代は
社殿内の収納庫に治められていました。ご苦労様でした。
この狛犬は二代目で、初代は心無い者に堀に落とされ、
そのまま引き上げられずにいるそうです。
(嘉永7年(1854)建立)
境内社・豊光稲荷大神
絵馬も願掛け高麗犬です。