小泉神社

大和郡山市小泉町2333(平成23年1月6日)

東経135度45分28.94秒、北緯34度37分16.89秒に鎮座。

 この神社は関西本線・大和小泉駅の西北西約800mに鎮座しています。
 入口をしっかりと狛犬が護り、鳥居を潜ると、穏やかな石段が境内まで続きます。石段を登り切ると正面に片桐城(小泉城)から移築された神門が建ち、広い境内に真っ直ぐに伸びた参道両脇には、綺麗に盛り砂が並べられていました。豊かな森の大樹の前に千鳥破風付きの大きく荘厳な拝殿が建ち、左右に素敵な造りの境内社が数社祀られています。
 拝殿を左に回り込むと、檜皮葺きの中門と板塀に囲まれた中に国重文指定の本殿が建立され、本殿前には可愛い狛犬がいます。遠慮がちに中門の外から撮影をしていると、宮司さんが中に招き入れてくださり、本殿と狛犬の撮影許可をくださいました。そればかりか、今は宝物庫内に保管されているという木製の神殿狛犬の撮影までもさせていただきました。宮司様、その節は本当にありがとうございました。
 又、この社には、嘉永6年(1853)建立の存在感溢れる三対の浪速狛犬と、台座に天保12年(1841)と彫られた素朴な狛犬、お狐様など合計六対の狛犬とお狐様が居られます。狛犬ファンには見逃せない神社です。

 御祭神:素盞嗚命、誉田別命
 祭礼日:10月第2土日曜日
 境内社:九頭神神社、片桐神社、源宗稲荷社、八幡神社・天満神社
 由緒:人皇第百代、後小松天皇即ち、今を去る約500年以上前、明徳・応永年間(室町将軍3代〜4代に亘る)此の地方一円の守護神として現在の神域に斎き祀られた。
 其の后天文年間当地の豪族小泉四郎左ェ門と云える者が社殿を改築し、遷座祭には京都の神祗官領より来社され祝詞奏上の上奉幣行事が行はれて以来、現時に及ぶまで450年間連綿として古式其のままの慣習として毎年秋の例祭には神社独特の五色の幣を以って奉幣行事を執り行い来たれるは実に神社の誇りとする処、その昔を偲ばれるものなり。
 されば往昔より此の地方の農・工・商・すべての産業開発・方除・治病・禁厭・厄除・交通・縁結び等、世の中のあらゆる幸福をもたらせる神であり、人間生活の守護神として地方住民の崇敬篤く室町江戸時代を通じ、遠近よりの参詣者絶ゆる事なく社頭は常に賑わいを呈せり。
 其の后摂津の国、茨木より片桐且元公の弟・貞隆公が藩主と成るに及び歴代藩主の崇敬篤く、毎年例祭には片桐家より献茶の儀が行われていた等由緒深き古社なり。

社頭
表参道入口にいる嘉永6年生まれの浪速狛犬
厳めしく実に堂々とした狛犬ですが、惜しいことに吽の右耳辺りが欠けています。
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(嘉永6年(1853)癸丑9月建立)
入口に立つ明神鳥居 社号標
「国宝小泉神社」
なだらかな石段参道が境内へと続きます。
境内入口
境内入口に居る嘉永6年生まれの浪速狛犬
阿には宝珠が、吽には角が付いているように見えます。表参道入口にいる狛犬と同年代の建立ですが、この狛犬も思慮深そうで姿勢の良い、造りが丁寧な立派な狛犬です。
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(嘉永6年(1853)癸丑9月建立)
神門
元は片桐城(小泉城)の門で、屋根の下にもう1つの屋根がついている姿は「袖付き門」と呼ばれる形式をしています。
境内の様子
拝殿前にいる嘉永6年生まれの浪速狛犬
参道入口、境内入口と拝殿前、全ての狛犬が同じ嘉永6年9月に奉納されています。三対とも良く似ていますから同じ工房で生産されたのでしょうか?やや痛みはありますが、この狛犬も堂々とした、造りが丁寧な良い狛犬です。
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(嘉永6年(1853)癸丑9月建立)
千鳥破風付きの大きく荘厳な拝殿
中門と板塀
板塀内の本殿が建つ境内の様子
本殿前にいる建立年代不明の可愛い狛犬
建立年代は不明ですが、参道にいる三対の狛犬より大分前に造られた物と思われます。吽には可愛い角があり、まん丸な目や鼻、大きく横に開いた口など愛嬌があり、姿勢が良く首をやや前方に伸ばしています。
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国重文指定・本殿
一間社春日造、屋根は檜皮葺で千木と勝男木を乗せています。身舎の舟肘木、向拝の連三斗の形が珍しく、浜床の上に置高欄をすえているのも類例が少ない貴重なものと言われています。建立は室町時代末ごろのものと考えられ、全体に彩色が施され、江戸時代の寛文年間(1661〜1673)に修理が行われています。
境内社:片桐神社
境内社:八幡神社・天満神社
八幡神社・天満神社を護る狛犬
台座には天保12年(1841)と彫られていますが、彫りが浅く、短足・寸胴・尾が背中に張り付いている等、姿形は江戸中期の特徴を備えています。宮司さんも「もっと古い物と思っているが…。」とおっしゃっており、台座だけが天保12年に造られた可能性もあるかもしれません
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(天保12年(1841)辛丑建立)
境内社:九頭神社
九頭神社社殿縁に居る小振りの中国狛犬
境内社:源宗稲荷社
源宗稲荷社のお狐様
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宝物庫内にいる木製神殿狛犬
玉眼が埋め込まれた、全身朱に彩色された狛犬です。寄せ木造りで、補修の跡が見られます。木製の神殿狛犬は余り拝見できる機会が無く、建立年代の推定が難しいのですが、目の特徴から江戸時代以前の制作と推定されます。昔は本殿内に置かれていましたが、現在は宝物庫内におります。今回は宮司さんのご厚意で宝物庫内での撮影が許されました。ありがとうございました。
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