村屋坐弥富都比売(むらやにいますみふつひめ)神社

磯城郡田原本町蔵堂426(平成23年1月8日)

東経135度49分13.21秒、北緯34度32分42.02秒に鎮座。

 この神社は蔵堂地域を南北に流れる大和川西に鎮座しています。
 参道入口に立つ木製一の鳥居から生活道路と兼用の参道が100m程北に延び、古木が天高く聳える大きな森の手前には、 「懸社村屋坐弥富都比売神社」の社号標と二の鳥居が立っています。森を分けて入る参道両脇には同型の鳥居が立ち並び、人々の崇敬の深さが偲ばれます。途中右側に神主の祖神を祀ったといわれている物部神社が祀られています。
 境内両脇にも鳥居が立ち並ぶ中、中央奥に入母屋造りの大きく落ち着いた拝殿が建ち、その後ろの朱の垣内に二社続きの流造銅板葺の本殿が建立されています。
 社殿左右にも村屋神社、久須須美神社、服部神社等の境内社となった式内社が祀られています。
 県天然記念物指定の鎮守の杜と共に、神社全体の雰囲気が落ち着いた佇まいを見せ、閑かな参拝をするには格好な、素晴らしい神社でした。

 御祭神:三穂津姫命、大物主命
 祭礼日:元旦祭・1月1日、節分祭・2月3日、祈年祭 御田祭り・2月11日、夏越し大祓い・6月30日、弁天祭(夏祭り)・7月7日、秋期大祭・10月9日(宵宮) 10日(例祭)、新嘗祭・11月23日
 境内社:村屋神社、久須須美神社、服部神社、市杵嶋姫神社・物部神社
 由緒:延喜式内大社で、旧県社、大神神社(オオミワジンジャ)の別宮。
 日本書記によると、主神 三穂津姫命は、高皇産霊命の姫神で大物主命が国譲りをされたときその功に報いるためと大物主命の二心のないようにという願いから、自分の娘を贈られたという神話に出てくる神である。
 この故事から縁結びの神、家内安全の神として信仰され、大物主命は大神神社の祭神で、その妃神を祭っていることから、大神神社の別宮とも称せられている。
 かつて、この地では正月の大とんどで大神神社と村屋神社の火種子をもらって帰り、みよと(夫婦)火とし、それで雑煮を炊いて1年の家内安全を家族で祈願していたという習慣が残っていた。
 「延喜式」神名帳 式下郡に村屋坐弥冨都比賣神社・村屋神社・久須須美神社・服部神社が記載されており、天武天皇元年(673)壬申の乱のとき村屋神が神主にのりうつって「わが杜の中を敵が来る。社の中つ道を防げ」と大海人皇子方の大伴連吹負将軍に軍備に対する助言をした。この功績によって神社として初めて位を天皇から賜ったと日本書紀に記されている。
 その後も何度か位を賜り現在正一位森屋大明神の呼称が残っている。
 壬申の乱の功を後世に伝えるためにこのとき功のあった三神を回る御渡が例祭に行われていた。三神とは村屋神を祭る村屋神社、事代主命を祀る久須須美神社、生雷神を祀る森市神社である。
 天正の頃(1580年頃)戦火に遇い社地を奪われ財源がなくなり、一時祭祀は中絶していたが、慶長4年(1599年)52代神主大神(森本)政重によって、現在の規模に縮小して再興を果たしたとされている。
(「村屋坐弥富都比売神社公式サイト」より)



神社入口より100m程南の参道入口
神橋 庚申
参道入口に立つ木製一の鳥居
生活道路と兼用の参道
社頭
神社入り口に立つ二の明神鳥居 社号標
「懸社村屋坐
弥富都比売神社」
灯籠が立ち並ぶ参道の様子
境内の様子
拝殿前、天保10年生まれの浪速狛犬
吽には角があり、丁寧に造られた、非常に出来の良い狛犬です。
狛犬の拡大写真はこちらで
(天保10年(1839)己亥9月吉日建立)
入母屋造りの大きく落ち着いた拝殿
低いところに掛かる板締めの注連縄が珍しいです。
本殿前の瑞垣
本殿入口の三の木製鳥居
東西に並んで建立されている二社続きの銅板葺本殿
西殿(向かって左側)には大物主命、東殿(向かって右側)には三穂津比売命を祀っています。文久2年(1862年)新築願いの古文書が残り、本殿は桁行16.0尺(4.86m)、梁行6.1尺(1.85m)の南面した三間社流造(本殿二社と合間からなる)で、極彩色を施す。両社殿には千鳥破風を設け拝懸魚として猪の目懸魚を吊し、その上に置千木・堅魚木を各々1個づつ持つ。大棟の妻破風には拝懸魚として蕪懸魚を吊し、置千木・堅魚木を妻側に各々1個づつ載せる。なお、屋根は檜皮葺であったが、昭和46年に銅板葺にされた。
境内社:村屋神社(経津主神、武甕槌神、室屋大連神、大伴健持大連神)
本社東の川辺、字宮ノ山に鎮座していたが天正年間、現在の地に移された。
境内社:久須々美神社(天之久之比神、事代主神)
本社東の川辺、恵比須山に鎮座していたが、明治初年に現在地に移される。
大字伊与戸の氏神であった。
境内社:服部神社(天之御中主命、天之御鉾命)
大字大安寺カキノモリに鎮座していたが、南北朝時代に戦火に遭い、
現在地に移される。
境内社:市杵嶋姫神社・物部神社(炊屋姫命・宇麻志摩遲命、物部守屋連)
由緒不祥、神主の祖神を祀ったといわれている。
保食神 征清討台戦死病死者祈念碑
ご神木と県天然記念物指定の鎮守の杜