並柳神明宮

松本市並柳4(平成17年5月14日)

 この神社は並柳小前交差点から団地に向かう道路に入り並柳上堤を左折。坂道を登った突き当たりに鎮座する、とても小さな神社です。ここには昭和60年生まれの手彫りの狛犬がいました。今時、既製品の嫌らしいしょうわ狛犬ではなく、この地方の伝統的な狛犬を造ってくれる石工さんがいる事と、それを依頼した氏子さんに感謝。

【狛犬情報・伊藤さんから】(平成19年6月27日追記)
 はじめまして。私は長野県松本市で石材店を営んでおります。友人から「神社探訪・狛犬見聞録」で私の作品を見つけたとメールをもらい早速拝見させていただきました。松本市の並柳神明宮に建てたものです。美大を出て2〜3年目に注文を頂き 夏の1ヶ月ほど、彫刻家の先輩と1体づつ仕上げました。
こんな形で紹介していただけるとは思わず、うれしく思います。ありがとうございました。

ちなみに猿田彦神社の狛犬を彫った伊藤重造は、私の祖父です。すでに他界しておりますが、こうして名前入りで紹介していただけたことを喜んでいると思います。

参道入り口の靖国鳥居

境内の様子と二の靖国鳥居

昭和60年生まれの阿は子取り、吽は玉取の松本型狛犬


(石工 阿・伊藤博敏、
    吽・岩岡道雄
  昭和60年9月吉日建立)

 
この写真は上記の狛犬を製作していた20代の頃の石工・伊藤さんの製作過程で撮られたものです。普段石工さんの製作風景など中々拝見する事ができないのと、私達の撮った狛犬写真よりずっと良くこの狛犬の特徴がでているのとで、載せさせて頂きました。ライオン顔で堂々とした体躯の親で、子狛の威嚇の表情はかえって可愛らしさを醸し出しています。
【狛犬情報・伊藤さんから再度ご連絡を戴き、珍しい狛犬製作への石工さんの心意気をお知らせ戴きました。】(中々石工さんのお気持ちを窺い知る機会はないので、ここに転載させて戴きました。)
 制作当時私も狛犬への理解は浅く、市内の狛犬を見て回ったりしながら粘土でマケットを作りました。今も石膏像が残っています。
 参拝者を見つめる視点以外に狛犬同士の関係も考えるようになり、裏テーマで家族をイメージしました。「阿」側を母親「吽」側を父親にと考え、父親の持つ松本手まりを母親の胸元からねらっている子どもという設定です。
 実は学生時代、東大寺の仁王像は参道を通る参拝者の位置から巻き起こる風を腕にかけた布で表現していると聞いたのを思い出し、参拝者と狛犬の関係、そして狛犬同士の関係をなんとか表現しようと自分なりに模索していたわけです。

 一緒に制作していただいたのは、当時店も手伝ってもらっていた岩岡 道雄さんです。現在も安曇野で彫刻家として活動されています。石膏取りしたマケットを参考にしながら、私が「阿」岩岡さんが「吽」を彫りました。
拝殿 本殿
舞屋