鈿女(うずめ)神社

北安曇郡松川村細野大泉寺6695ー1(平成18年10月14日)

 この神社は大糸線・北細野駅の南西約500mに鎮座しています。ここも遠くからでもそれと分かる大きな鎮守の杜を保ち、境内にはまだ新しく大きく堂々とした社殿を構えた天鈿女命と、境内社として境内左奥にひっそりと祭られている夫神・猿田彦命の対比が、現代社会の家族像を象徴しているようで、思わずニンマリとしてしまいました。

 案内には「御祭神:天鈿女命。
 創祀は明治年間で、昭和前期にかけ福利厚生に霊験ある神として「おかめ様」の愛称で親しまれ、多くの信仰者を集め、殷賑を極めた神社である。」とあります。
 明治時代までは個人宅に祀られた祠でしたが、その霊験があらたかであるという評判が評判を呼び、地域で管理する事になったと言う珍しい神社です。丹波国・佐地神社から分祀勧請され、また、同名社が岡谷市、下諏訪町,茅野市にもあり、それぞれここ松川村の鈿女神社から勧請されたようです。天鈿女命は、ご存じ天照大神が天の岩戸に隠れた時、岩戸の前で舞を舞った女神で、後には猿田彦命と共に「道祖神」としても祭られるようになりました。また、神楽や狂言では「天鈿女命面」が「おかめ面」となり、おかめ様、おかめ神社、神楽大明神と親しみを込めて呼ばれるようになり、音曲の技術向上や安産、商売繁盛、招福、開運の御利益があるとされています。又この地域では、正月の注連飾り、長持ち行列の先頭に「おかめ面」が飾られる慣習があるそうです。珍しいですね、他では注連飾りにおかめ面を付けるなど、聞いたことがありません。

神社遠景 神社入口
境内入口 拝殿
境内中央には「一千度石」がありましたが、他の神社の物とは感じが違います。
この狛犬は松本独特のものかと思っていましたが、ここ松川村にも住んでいました。石工の田近勝之さんの特徴ある「花魁狛犬(と私は名付けました)」は松本市の岡宮神社、塩竈神社等に銘入りで建立されています。ライオン顔で鬣が大きく横に広がり斜め前方に反転して帰る流れと指の大きさに特徴があります。
(石工・田近勝之  昭和4年10月建立)
本殿 境内社
境内左奥に、ひっそりと祭られている天鈿女命の夫神・猿田彦命