梅戸神社

上伊那郡飯島町飯島2434(平成23年4月30日)

東経137度55分42.09秒、北緯35度40分32.1秒に鎮座。

 この神社は飯島駅の西約400mに鎮座しています。縣乃森と呼ばれる大きな森の中にすっぽりと収まる感じに神社があり、一の鳥居を潜り神橋を渡ると涸池、中の境内に上がる石段脇には明治初頭の伊那県知事・北小路知事が寄進した町指定文化財「梅戸神社の幟」碑が立っています。中の境内にる昭和9年生まれの江戸流狛犬がおり嬉しがっていると、上の境内には蹲踞の姿が美しい信仰の対象だった文久3年生まれの狛犬がいて、もっと幸せな気持ちになりました。
 上の境内には境内を取り囲むように境内社、左右翼殿、社務所などが繋がれ、その奥に大きな本殿覆い屋が建立されています。
 仁徳天皇20年(332)勧請と伝えられる古社に相応しい佇まいの、神寂びた感じの素晴らしい神社でした。

 御祭神:建御名方命、須佐之男命
 祭礼日:歳旦祭・1月1日、節分祭・2月3日、立志祭・3月日曜日、乳幼児健康祈願祭 鎮火秋葉祭・3月21日、入学奉告祭・4月1日、祇園祭・7月14・15日、風祭・8月25日、例祭・9月19・20日、七五三祭・11月15日、新嘗祭・11月30日、神符頒布祭・12月15日、大祓・12月28日、除夜祭・12月31日
 境内社:秋葉社、金刀比羅社、天神社、宗像社、伊勢宮
 由緒:仁徳天皇20年(332)に勧請と伝えられ、上古より現在の梅戸の里上ノ山の地に土地の守護神として、この地に生活した人々の信仰の的として、祀られてきた。その後幾年代か経て、文禄2年11月9日約400年前飯島伝馬のが置かれ飯島町と称し中伊那の宿場として人馬の往来の絶えることのない賑わいの地とかわった当時より、梅戸の宮と号し宿内の守護神として人々の崇敬を高めてきた。寛文12年6月飯島陣屋代官所が新設され、広く信濃の幕府直轄領(天領)を支配する政庁の所在地となり初代代官に伊子大洲より天羽七右衛門が任命されてより、以後明治元年5月まで190年間四十余名の代官の交替によって支配され、歴代代官諸役人の信仰も厚く境内には当時の石像寄進物等が残されている。王政御一新によって廃藩置県が行われ明治元年8月2日元飯島陣屋に伊那県庁が置かれ、中務大亟北小路大江俊昌卿が朝命によって同年10月3日伊那県知事に赴任し信濃の各地と三河飛騨に点在する旧幕府領旗本領を管轄統治する県として明治政府によって、新しい官員が任命され、維新の地方行政にあたった。さらに信濃の諸藩に対しては統監の任をも兼ねた。知事は従四位堂上公家の家柄で礼遇は重く毎年1月初頭には元各藩主(殿様)は知事に面謁年賀のため来庁せられ当神社の参拝を済まされた。飯島町は信濃における政治経済文化の中心地となり現在の長野県の行政はこの地に始まったのである。明治3年2月北小路知事が明治政府神祇官に伺いを経て県の護り神梅戸神社と称して知事他多数の官員参列の上社号命令の祭儀が斎行され伊那県の守護神として篤く崇敬せられた。神武の創業にかえる祭政一致の政治が大眼目であった維新当時僅かな年月ではあったが、伊那県庁と梅戸神社の結び付きは深いものがあった。昭和42年1月知事が当神社の称号を奉った祭儀の祝詞等多くの貴重な文書が発見され、神社本庁より長野県の由緒ある尊いお社として同年8月28日付を以て献幣使参向指定神社に列格された。
(境内「梅戸神社由来の記碑」より)

 梅戸神社の創建については、明らかではありませんが、飯島のこの地に伝馬宿が置かれた江戸時代には、「梅戸の宮」として、宿内と近在の人々や飯島陣屋の役人たちの崇敬を集めてきました。
 明治時代になって、伊那郡ができ、飯島陣屋の建物が伊那県庁舎となると、隣接した「梅戸の宮」は「梅戸神社」と呼ばれるようになり、伊那県と深く結び付きを持ちました。
 現在、境内には、飯島陣屋や伊那県当時の文化財や歴史資料がたくさん残されています。また、「本殿」と北小路知事が寄進した「梅戸神社の幟」は、町の指定文化財となっています。
(境内「伊那の中道 風雅の道しるべ」より)

 

社頭
社号標
入口に立つ一の明神鳥居
参道の様子
神橋
参道に立つ二の明神鳥居
涸池
北小路知事が寄進した町指定文化財「梅戸神社の幟」碑

中の境内へと上がる石段参道
中の境内に居る昭和9年生まれの江戸流狛犬
どうしてこの地に江戸狛犬が…と思ったら、東京在住の方の寄進でした。所謂「故郷に錦を飾った」方なのでしょう。
狛犬の拡大写真はこちらで
(昭和9年(1934)9月建立)
上の境内入口

上の境内入口脇にいる文久3年生まれの狛犬
狛犬そのものが信仰の対象だったとして、珍しく案内板が付いている貴重な狛犬です。阿は垂れ耳角付きで、吽は立ち耳宝珠付きです。威厳のある端整な顔立ちで、獅子紋も良く残り、蹲踞の姿が美しい狛犬です。
狛犬の拡大写真はこちらで
(文久3年(1863)建立)
参道の様子
境内の様子


石燈籠
拝殿
拝殿内の様子
本殿覆い屋と拝殿入り口から見える本殿正面
境内社:秋葉社、金刀比羅社、天神社、宗像社、伊勢宮
ご神木
鎮守の杜