安曇野市三郷中萱(平成18年10月14日)
この神社は【狛犬情報・ジンジャーさん】からのお薦め神社です。
大糸線・中萱駅の西約700m、貞享義民記念館裏に鎮座しています。神社前面の側道には綺麗な水が流れ、石橋を渡って神域にはいることになります。鬱蒼と木々が茂る入口には、福島型の厳めしく、逞しい体つきの狛犬が睨みを利かせています。清々しい境内の中央には、この地域としては小振りの神楽殿が建ち、その奥に両片拝殿付きの厳かな拝殿が静かに翼をひろげたような形で建っています。相殿や境内社もとてもよく手入れされ、静かで心地よい参拝ができました。
案内には「御祭神:伊弉冊尊、速玉男命、泉津事解男命、素盞鳴尊
由緒:応永9年(1402)の社伝記によれば、白雉元年(650)熊野新宮より分霊を祀り旧中萱村の氏神とした。本殿は春日造で市指定文化財となっている。」とあります。
また、毎年8月末に2日間に渡り執り行われる例祭では、安曇野地域では一番大きいとされる「お船」と呼ばれる山車が、集落や田園風景の中を曳航される光景は、なかなかの迫力がありそうです。この「お船」では、毎年山車の上に武者人形が飾られ、様々な時代絵巻の一コマが再現されるそうです。夫が定年になり、時間的にもう少し自由になったら、是非拝見したいですね〜。
今ではこの様に心静かな参拝ができる神社も、過去には暗い歴史の一舞台となった時期がありました。それは、ここ安曇野地域全域を巻き込んで、28名もの尊い命を犠牲にしてしまった「貞享義民騒動」と言われる百姓一揆で、元庄屋の多田加助以下農民の同志達が、ここ熊野神社において度々会合を開き、年貢増量への対応を協議。五ケ条の要望を記した訴状を郡奉行に提出するに至ったのですが、結局、一揆は家老の奸計により挫折し、首謀者は全員処刑されてしまったという、悲惨な結末を迎えてしまいました。今では、この時処刑された方達はすぐ北に鎮座する貞享義民神社に祀られています。