安曇野市堀金三田字田多井(平成18年10月14日)
この神社は大糸線・中萱駅より314号線で西に向かい、25号線を通り越してそのまま山に向かうと25号線より約300mで左側に鎮座しています。ここには社号標が建ち、現在は皆さんここからの参道を使用して参拝しているようですが、実は鳥居や社殿の向きから考えると、25号線と平行している道路からの入口が本来の参道のようでした。参拝後にこちらからの入口も確認してみたのですが、お墓の隣に少し樹林の隙間が空いているだけで、地元人以外は多分分からないだろうと思われました。
さて、社号標を右に見て参道を進むと、すぐ左手に大きく綺麗な舞台庫が建っています。4月の末頃に盛大な例祭が執り行われているようですので、その時に使用するのでしょう。山裾の静かで長閑な参道歩きは、樹木が多く目にも優しく、沢山の清々しい空気を充分吸って、気持ちの良い参拝ができます。境内入口左には、自然石を組み合わせた風雅なお手水があり、思わず足を止めて見入ってしまいました。境内にはいると、思わぬ変な方向に向けて鳥居が建てられています。不審に思い近づくと、その下はじめじめした苔が生えた坂道で、ここが旧参道からの入口でした。鳥居の下に立ち境内を眺め直すと、すぐ目の前には開放的な神楽殿が建ち、その奥の杉の古木の後には石垣が組まれ、若々しい狛犬と立派な拝殿、市指定文化財の本殿が建ち、山の森をバックに一段と荘厳な感じが深まる気がしました。境内には多数の末社が祀られ、自然石を利用した巨大な灯籠も周囲の風景に良くマッチしています。
特筆すべきは境内右に一段と大きく枝を伸ばし、幽玄ともいえる雰囲気を漂わせている枝垂れ櫻で、左側の少し若い枝垂れ櫻との競演はさぞや見事であろうと思われました。我が夫などは「この神楽殿に座って、満開の枝垂れ櫻を見ながら、静かにお酒を飲みたいね〜。」等と不遜な事をつぶやいておりました。とりたてて有名神社でなくとも、深遠たる素晴らしい雰囲気を持つ神社が、まだまだ大事に護られ残されている…という実感を、改めて思い起こさせてくれる神社でした。
御祭神:別雷命、建角見命、玉依比売命、建御名方命
由緒:創建は不詳ですが、古くから開拓の神・農耕の神として祀られ信仰されてきた神社で、寛文6年(1666)の検地帳には、諏訪大明神と記載されています。それが、賀茂神社と改称され主祭神が変更になった時期と理由ははっきりしないそうですが、安政年間(江戸末期)の頃ではないかといわれています。