高千穂宮

西臼杵郡高千穂町三田井1037(平成19年6月24日)

 この神社は高千穂峡谷から北に歩いて10分ほどの県道に面して鎮座している、三代実録第一巻にもその記述がある1200年以上の歴史を持つ古社です。嘗ては高千穂郷(現在の高千穂町、日之影町、五ヶ瀬町、諸塚村)には554社の神社があり、その中でも格の高い88の神社が「高千穂八十八社」といわれ、その総社として信仰を集めてきたのがこの社で、由緒と格式の高い神社です。
 青銅製の大鳥居を潜ると自然石に社名が記された趣ある社号標が建ち、深い鎮守の杜の中に昼尚薄暗い参道が通り、平成16年生まれの派手な造りの狛犬がいました。数段の階段上に境内があり、参道には左右に末社が祀られていて、正面の拝殿は大きく荘厳で、左右の脇廊下には鎌倉時代に建立された国重要文化財指定の鉄製鋳造狛犬が置かれています。国重要文化財指定の本殿脇障子には御祭神・三毛入野命が霜宮鬼八荒神を退治した時の様子と伝えられるリアルな彫像が彫られています。又境内には第十一代垂仁天皇の勅命により我国で始めて伊勢神宮と高千穂宮が創建された際用いられた鎮石や、秩父杉、夫婦杉などの大杉が林立しています。

 御祭神:
高千穂皇神(日本神話の日向三代の皇祖神とその配偶神)…天津彦火瓊々杵尊・木花開耶姫命、彦火火出見尊・豊玉姫命、鵜葺草葺不合尊・玉依姫命
十社大明神(三毛野命とその妻子神)…三毛入野命・鵜目姫命、 大郎命・二郎命・三郎命・畝見命・照野命・大戸命・霊社命・浅良部命
合祀神…事勝国勝長狭神・大年神・稲飯命・五瀬命・三毛入野命(合祀により重複)・神日本磐余彦命・猿田彦命・天鈿女命
摂社…・門守神(祭神不詳)、・八坂神社(祭神:素盞嗚命)、・御霊社(祭神:大神惟基)・羽居高天神(祭神:菅原道真)、比波里天神(祭神:天村雲命)、鎮守社(祭神不詳)
 例祭日:4月16日、猪懸祭・旧暦12月3日
 由緒:創建は社伝によると垂仁天皇の御代となっており、平安時代から中央の記録にもしばしば登場する大変由緒ある古社です。神武天皇の皇兄三毛入野命が東征の途次高千穂に帰られて、初めは高智保皇神といいこの地に宮居をさだめられた天孫瓊々杵尊、木花開耶姫以下三代の神々をお祀りしたのが始まりで、天慶年間(936〜947)高千穂地方の領主となり三田井家を興した高千穂太郎大神政次の頃から「十社大明神」と呼ばれるようになり、旧郷高千穂八十八社の総鎮守として人々の篤い信仰を集めてきました。鎌倉時代には源頼朝が畠山重忠を代参として多くの宝物を奉納し、文永、弘安の役には勅使が祈願のため参拝し、南北朝の頃には征西将軍懐良親王の祈願等もされました。天正年間三田井氏が滅んで延岡領となりましたが、歴代藩主はそれぞれ社領を寄進し例祭にはたえず奉幣していました。明治6年三田井神社と改称、28年に高千穂神社に改称し、昭和46年には別表神社に列せられ、現在に至っています。
  旧暦の12月3日には「鬼八伝説」にまつわる「猪掛け祭り」が行われます。当日は町内3箇所にある 鬼八塚(首塚・胴塚・手足塚)に氏子らがお供え物をするなどの慰霊祭が行われた後、社殿にて「地祇の舞」と呼ばれる高千穂神楽の原型とされる「笹振り神楽」を奉納、三毛入野命に殺された鬼八の魂を鎮める「鬼八眠らせ歌」を歌いながら笹を左右に振り、五穀豊穣・無病息災を祈願するそうです。

 宮崎には瓊々杵尊が降臨したという「高千穂」が2ヶ所あり、一つはここ西臼杵の高千穂、もう一つは霧島にある高千穂峰です。どちらが本当の天孫降臨の高千穂なのか、昔から数多くの論争が行われてきましたが、現在までこの問題の決着はついていません。

神社入口 社号標
参道途中にいた平成16年生まれの狛犬
顔つきは穏やかですが、鬣や尾の装飾がとても派手に出来ています。子だくさんで、阿吽共に二匹ずつの子狛を、お腹の下に隠すように連れています。吽には小さな角があり、鼻の下の髭のせいでおじさん顔に見えます。
狛犬の拡大写真はこちらで
(皇紀2664年 平成16年(2004)4月16日建立)
参道の様子と境内入口
境内の参道脇に祀られる末社二社
大きく荘厳な拝殿
拝殿内の様子
奥に本殿正面

拝殿の左右脇廊下に伝・鎌倉時代に建立された国重要文化財指定の鉄製の神殿狛犬が居ます。
鎌倉時代に源頼朝の名代として秩父の畠山重忠が天下泰平の祈願のために代参した際に献納したと伝えられる国重要文化財指定の鉄製鋳造狛犬です。
狛犬の拡大写真はこちらで
国重要文化財指定の本殿

本殿左にはこの様に合祀社?が祀られています。 本殿脇障子の彫像は御祭神・三毛入野命が霜宮鬼八荒神を退治した時の様子を彫られたものと伝えられます。
 荒振神どもを平げ農業や産業の道を拓かれた三毛入野命は厄祓や産業の神としても深い信仰があり鬼八退治にちなんだ猪懸祭は十二月三日に行われ神道祭祀の原型をとどめた古事として有名です。鬼八塚は町内に三ヶ所ありそのなかの首塚は現在ホテル神州の東北にあります。(現地案内板より)
本殿妻下の、藤棚の下で遊ぶ二匹の猿と、鳳凰の彫刻
「鎮石」
毎夜観光客のために高千穂神楽三十三番の中から「手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」「御神体の舞」の4つの舞が、この神楽殿で年中無休で公開されています。
県文化財指定の荒立神社と四皇子社
 荒立神社の御祭神は猿田彦六神と天鈿女命で交通安全・縁結び・芸能の神さまとして信仰されています。四皇子社には日本建国に功績をのこされた神々、神武天皇とその御兄弟四柱の神(五瀬命)(稲氷命)(三毛入野命)(佐野命)が祀られています。
社殿内の様子
左から、天満宮、荒立神社、四皇子社
秩父杉
鎌倉幕府の信仰が厚く、文治年間、源頼朝は秩父の豪族畠山重忠を代参として天下泰平の御祈願に参詣させ、その際重忠が手植した杉がこの木だそうです。樹齢・約800年、目通・9m、樹高さ・55m
夫婦杉
根元が一つになり、如何なる事があっても別れられない形を現して居ます。この廻りを手をつないで3回廻ると夫婦友人睦まじく家内安全で、子孫繁栄の三つの願いが叶うと伝わります。
高千穂大橋から見える高千穂峡谷の様子
高千穂大橋の親柱に填め込まれていた「神話のふる里 高千穂」の陶板 高千穂の郷土料理
山菜、蒟蒻など、美味しかったです。