零羊(ひつじ)崎神社

石巻市湊牧山1(平成19年7月24日)

 この神社はJR石巻線・石巻駅の東3.3kmの、太平洋と牡鹿半島を一望できる牧山市民の森最奥、牧山の山頂に鎮座しています。国道398号線から牧山市民の森を目指し坂道を登っていくと、山頂付近に駐車場があり、鳥居と社号標が建っています。この入口の駐車場からは、眼下に万石浦から渡波港にかけての町並みが、まるで絵はがきの写真のように見え、下界とははっきり違う世界、所謂神域に居ることを意識させてくれます。深閑とした老杉や古木の中の石段を上がると「延喜式内社 零羊崎神社」の案内板と共に二の鳥居が建ち、右手の綺麗な社務所が目に付きます。深い杜に囲まれた静かな境内の正面奥には、朱塗りの大きな拝殿、拝殿の後ろの塀の中に優雅な流造の本殿が建っています。静かでゆったりと参拝するには最適の心休まる神社でした。

 御祭神:豊玉彦命
 例祭日:5月8日・春季大祭、8月9日・夏季大祭 (県指定民俗文化財民俗芸能・牡鹿法印神楽奉納)
 境内社:白山神社・薬師神社
 由緒:式内社・零羊埼神社に比定され、貞観元年従四位下に叙せられた古社で、以前は白山神社とも称していました。縁起によれば、「応神天皇2年神功皇后三韓征討のおり、当社大神の御神託により出征を決意、大神の守護により無血にして征討がかない、勅願により涸満瓊別神(ひみつにさけのかみ)の名を授かり、東奥鎮護のため牡鹿郡龍巻山に祀られました。「涸満瓊別神」は、干潮・満潮を別ける神を意味し、後に、龍巻山の龍が除かれ牧山となり、この神名が零羊崎になった」とされています。仏教との習合時代には、坂上田村麻呂の牧山観音を勧請した鷲峰山長禅寺という山号を持つ、奥州三観音の一つとなりました。なお、牧山は元、魔鬼山とも書いたとされ、坂上田村麻呂(758〜811)が魔鬼女の菩提を弔うために勧請し、弘仁7年(816)に魔鬼山寺を牧山寺とし、法相宗の僧延鎮が創建したとする説や、慈覚大師円仁(794〜864)が開山したという伝承もあるようです。(kanjisinさんブログ参照)
 式内社・零羊埼神社に比定される社はもう一社有り、石巻市真野に鎮座する零羊崎神社は、「白鳥神社」とも言い、豊玉姫命と倉稲魂命を御祭神としています。

社号標 神社入口
境内への石段 境内入口、二の鳥居
境内にいる昭和11年生まれの子狛付き出雲丹後狛犬
(昭和11年(1936)建立)
境内の様子 大きな拝殿
優雅な流造本殿 神楽殿
境内社・白山神社・薬師神社 ご神木
入口から見える万石浦から渡波港にかけての町並み