神峯(こうのみね)神社

安芸郡安田町唐浜(平成19年3月30日)

 この神社は四国霊場27番札所・神峯寺(標高630m)の上方約400mに鎮座しています。国道55号線から神峯寺に向かう道路にはいると、土佐くろしお鉄道のすぐ傍に一の鳥居が建っていました。神社へはここから約4kmの道のりがあります。昔はこの辺りも社域だったのでしょうか?その大きさに先ずビックリ!! 
 遍路道は神峯寺まで「真っ縦(まったて)」と呼ばれる急傾斜が続き難所になっています。我が家の愛車は軽のワンボックスなのでこの急坂は辛く、エンジンが喘いでいるのがよく分かる回転音がしていました。やっとの思いで(私達ではなく車がですが…)神峯寺にたどり着くと、山門の右手前に神社の鳥居が建っています。そこから尚も大師堂の脇を通ってきつい道を400m程上がると、やっと神社の駐車場に着きます。所がこの駐車場が又恐い! 崖に突き出て設置されており、下の金属板が所々腐って抜けいています。車を置いたら填ってしまいそうで、先ず強度を見てから恐る恐る車庫入れをしました。
 神峯寺にはお遍路さんがいっぱいでしたが、ここまで来る人は少ないのでしょう、手水鉢の中で蛙の大合唱が聞こえていました。道が狭く急坂の連続で、緊張していた気持ちがフッと和むのが分かりました。
 境内はまるでお城の石垣のような石組みの上にあり、その上に建つ県保護有形文化財の本殿は、神仏混淆の名残を思わせるお寺の本堂そのものの感じがし、素晴らしい彫刻とその大きさに驚愕。また、本殿右側奥の境内社・豊受神社から更に小道を登ったところに、異変が起こる前兆に光を放つといわれている燈明巌が鎮座しています。遥か昔、この不思議な磐座への信仰が興り、それが神社へと繋がり、最後に空海によりお寺が建立されたと考えていいのでしょうか?
 神峯山の自然林は樹齢900年の大樟を始め、杉や桧もそれに負けじ劣らじの大樹で、神域であるために伐採を免れた貴重なこの杜を、これからも大切に保護して頂きたいな…と、まったりと休憩をとりながら考えていました。

 御祭神:大山祇命、天照大神、天児屋根命、応神天皇
 例祭日:10月24日
 境内社:岩屋神社、龍田神社、豊受神社
 由緒:神功皇后が三韓征伐のとき天照大神その他の神々をこの地に祀って戦勝を祈念され、のちに行基菩薩が十一面観音像を刻んで神仏を合祀されたといわれます。その後大同4年(809)弘法大師がこの地に止って伽藍を建立し、神峯寺と号して、第27番の霊場に定められました。
 明治初年の神仏分離令によって神峯神社だけが残り、神峯寺は本尊を金剛頂寺へ移して廃寺となりましたが、13年後真崎天竜師などの努力により、堂塔を再建して本尊十一面観音を迎え、神峯寺を再興して現在に至っています。
 この社の例祭は県下有数の大祭で、大漁神祈願の奉納相撲大会が盛況なのだそうです。

土佐くろしお鉄道すぐ傍に建つ一の鳥居。
神社はここから約4km先に鎮座しています。
神峯寺山門脇に建つ
二の鳥居
神峯寺からの階段の参道 社務所脇に建つ三の鳥居
境内入口下にいる大正9年生まれの狛犬。
穏やかな顔つきで、尾を一旦ピンと立ててから斜め上に流しています。
狛犬の拡大写真はこちらで
(大正9年(1920)10月吉日建立)

境内入口 本殿に架かる社額
「縣社 神峯神社」
県保護有形文化財の本殿。
享保3年(1718)の建立で案内板には本殿と書かれていますが、
実際には拝殿本殿を兼ねた、貴重且つ圧倒されるほど素晴らしい建物 でした。
本殿唐破風下の有翼龍の彫刻。
本殿の木鼻、龍と狛犬。
ここも木鼻というかどうかは知らないのですが、
狛犬の取り付け位置が変わっていますね。
本殿前の小さな石製神殿狛犬。
始めチョット見た時は気が付かなかったのですが、この一対、感じが全然違います。
慌てて両方の建立年を調べ直すと、何と35歳もお歳が離れた相方でした。
狛犬の拡大写真はこちらで
(阿・昭和16年4月、吽・昭和51年12月吉日建立)
境内社・岩屋神社への参道 岩屋神社全容
岩屋神社拝殿 岩屋神社本殿
境内社・龍田神社 境内社・豊受神社