神明大神

オシャモジさま

 神明大神の本殿左側に、柵に囲まれトタン屋根に覆われた欅の御神木がある。この木は一月のオビシャの神事の際に注連縄が飾られ、神明大神の前身である羽黒権現の縁起に書かれている白蛇が遊んだとされる木である(中丸子神明大神の、項参照)。
 しかし、昭和三五年の南部沿線道路の新設により境内地が削られ、それと同時に中丸子用水や水神がまつられる境内の池が埋め立てられたことにより、この御神木が枯れ始め、昭和四〇年には完全に枯れ、昭和四二年にとうとう地上より三メ…トルを残して伐り倒されることとなった。
 この御神木は古くから「オシャモジさま」と呼ばれ、検地の際に使った物差しを埋めた場所であるという伝えがある。木に掲げられている昭和四二年に書かれた「神木おしゃもじ縁起」には次のように書かれている。
 この大欅は神明大神社がお羽黒さまと呼ばれた以前より神木として住人の立願あり、その霊験明らかなり。子供の病気平癒、縁遠き女人の結縁祈願多し。出生子のお宮詣には椿の葉に赤飯を盛り、立願成就のお礼には飯杓子・竹筒に酒を盛りたるもの、女子の十九才三十三才の厄年には黒髪など数多く供えありて今に知るもの多し。
 この頃まで、このオシャモジさまに願掛けをする風習はあったようであるが、現在はまったく見られなくなったという.、
(平田美雪)