大汝牟遅(おおなむち)神社

日置市吹上町中原東宮内2263(平成22年1月5日)

東経130度21分10.22秒、北緯31度30分30.08秒に鎮座。

 この神社は伊作小学校の北東約200mに鎮座しています。参道入り口に立つ鳥居から境内までは凡そ200mほども有り、東側にある鬱蒼とした森は「千本楠」と呼ばれ、樹齢800年以上の大楠が二十数株、あたかも龍が寝ているように地に背い、或いは空に向かい飛翔するがごとく梢を伸ばしています。実は天然記念物に指定されたのはこの森の「千本楠」だけなのですが、地元の方によると、嘗ては境内に聳える御神木の大楠(樹齢1000年以上、幹廻り約14m)をも含めて、地元では「千本楠」と呼ばれていたそうです。
 道路に面した境内入口には二の鳥居と社号標が立ち、低い玉垣が張り巡らされています。境内に入ると直ぐ左右に門守神社が祀られ、境内中央には変わった石組みの石橋が設置されていますが、今は地面に架かるだけで水は流れていません。その背後には銀杏の木が二本、それぞれ性別を分けて願い事を叶えてくださる様です。
 入母屋造りの拝殿や本殿は如何にも南国的な明るい色調の社殿です。拝殿前には古事記の大汝牟遅の神様と、兄神様等の八十神様にちなんだ潮浜参り(御潮とり)の風習で、沢山の貝が並べられていました。又 、境内左側にはイシノコンボサア(石の子望神様)や境内社・武内社が祀られ、右側には鳥居が建てられた樹齢1000年以上の御神木・大楠が「南薩一」の名に恥じず、その偉容を誇っていました。
 神寂びた雰囲気漂う「千本楠」をも含めて素晴らしい佇まいで、元気を頂けるような気のする神社でした。次回は夕暮れ時の慌ただしい参拝ではなく、早朝の神々しい雰囲気の神社を味わいたいと考えています。

 御祭神:大汝牟遅命(大巳貴神)、玉依姫命、応神天皇、神功皇后、仲哀天皇、仁徳天皇、合祀:天御中主神、少彦名命、別雷神、小烏大明神、住吉大明神
 祭礼日:祈年祭(田島殿神事)・3月第二日曜日、御田植祭(御田植踊り)・6月第三日曜日、六月灯・7月第四日曜日、秋祭り(流鏑馬・県指定民俗文化財)・11月23日
 境内社:森神社、門守神社、武内社、イシノコンボサア(石の子望神様
 由緒:この地は、神代の昔、瓊瓊杵尊が暫く宮居された所であるという伝説がありおます。
 創建年代は不祥ですが、御祭神は大和朝廷のころ、阿多隼人と言われたこの他の御先祖さまが、この地方の未来永劫の繁栄と安泰を願い、舎人として朝廷に仕えての帰り、奈良の大和国一ノ宮、大神神社(旧官弊大社)より大汝牟遅命(古事記の中で、大国主神の若い時の神名として『因幡の白兎』の話にあります)と玉依姫命を勧請して大汝牟遅神社を創建されました。(このことは千本楠等のはじまりの神話として今に残っています。)
 また、文治二年(1186年)、島津初代島津忠久は、源頼朝の鎌倉幕府の威厳を示す為、鶴岡八幡宮より清和源氏の氏神である八幡大神の、応神、仲哀、仁徳天皇及び神功皇后の御神霊を遷しあわせ祀りました。尚、大汝牟遅神社は伊作島津家の宗社として歴代当主の御加護が厚く、殊に日新公、貴久、義久、義弘、家久、光久等の造営の記録が残っています。
 明治以前までは、大汝牟遅八幡神と称されていました。

「大汝牟遅神社由緒」はこちらで

参道入口
参道入口に建つ鳥居 「千本楠」碑

 市指定天然記念物・千本楠は参道入口の東側に鬱蒼とした森を形成しています。森の中に踏みいると、樹齢800年以上の大楠が二十数株、あたかも龍が寝ているように地に背い、或いは空に向かい飛翔するがごとく梢を伸ばしています。この中の倒れ伏して朽ちた楠が親木と伝えられ、当時は根回り18m余りあったといわれています。神話によると大汝遅命下向の際、楠の木の杖を地にさされたところ、これが根付いて親木となり増えたと伝えられているようです。詩人・野口雨情もこの楠群を見て、「伊作八幡千本楠は横へ横へと寝てのびる」と詠んでいます。鹿児島では沢山の楠の巨木を見てきましたが、この神社の楠は数の点でも臥龍のように地に伏して居る様に見える点でも、他の巨木とは一線を画した名木といえるのではないでしょうか。

千本楠の森内に祀られる境内社・森神社 千本楠の一株です。
横に伸びた枝の空洞が
龍の咆吼のように見えます
千本楠の拡大写真はこちらで
参道の様子
社頭
境内入口に建つ二の鳥居 社号標
門守神社
手水舎 境内の石橋
左側の銀杏の木
男性の方が手を当て、願事を心で強く念じると、御神徳を戴けます。
右側の銀杏の木
女性の方が手を当て、願事を心で強く念じ、御神徳を戴けます。
また、胸に手をあてると、母乳の出がよくなると言われています。
入母屋造り千鳥破風付きの拝殿
如何にも南国的な明るい色使いの社殿です。
拝殿に架かる注連縄
拝殿目貫彫刻・龍
拝殿木鼻・狛犬と象
これまた南国的な明るい色使いの本殿
境内社:武内社

潮浜参り(御潮とり)
拝殿左右には砂が盛られた沢山の貝が並べられています。この貝に盛られた砂は、初詣の時、吹上浜で波打ち際の砂を山盛りし、四方拝後、波で崩れたあとの濡れた砂を、浜辺にある、赤貝(オトツゲ)に盛り奉納されたものです。これは、古事記の大汝牟遅の神様と、兄神様等の八十神様にちなんで、御神徳を戴く為だそうです。

御神木
南薩一の大楠で、樹齢1000年以上、幹廻り約14mあります。この大楠も願い事が叶うといわれます。先ず心に願事を強く念じ、このご神木をやさしく3回なでながら願事を唱えます。また、自分の身体の悪い所も、その手で撫でると良くなるといわれています。
御神木の拡大写真はこちらで