天川神社

仲多度郡まんのう町造田3431(平成21年3月31日)

東経133度56分27.47秒、北緯34度9分13.99秒に鎮座。

 この神社は国道438号線沿いに鎮座しています。道路に沿って細長くのびた境内背後の社叢は、国指定の天然記念物で巨木の入り交じった大きな鎮守の杜を形成しています。
 境内に足を踏み入れると、すぐ左右に狛犬と亀の台に乗った珍しい燈籠が奉納されています。水鉢は日露戦役凱旋記念に奉納された物で、四人の力士達が支えるというこれまた珍しい造りの物です。境内正面奥の拝殿は石垣の上に建立され、本殿はこれまたもっと上に建てられています。社殿の左側には「神楽」と書かれた建物があり、その左奥、玉垣に囲まれた一段低い場所に御祓場か昔の井跡があります。
 その左側には長く参道のような道が続き、自然林の大きな社叢が深淵とした雰囲気の気持ちの良い散歩道を造っています。

 御祭神:興台産霊命、天兒屋根命、酒部黒麿命
 例祭日:10月18・19日
 末社:9社
 由緒:天平19年(747)酒部黒麿の庭前に天女が降臨しましたが、善女と名付けられ良野の大堀に居住されました。この天川の境内に玉淵があり善女は身を投じて則妙見星社と示現し天上を給いました。これにより興登魂命を中尊に奉じ左右に妙見星、酒部黒麿を相殿とし、天川大明神と崇敬いたしました。
 明治5年郷社に列せられました。
(神社名鑑より)
 讃岐の国造の始祖神櫛王遠裔益甲黒麿と言ふ者あり。那珂郡神野郷に住す。天平19年丁亥3月15日庭前に天上より一つの星落ちて忽然として少女となる。黒麿曰く、吾に嗣なし、幸に興給ふなりと厚く撫育し、名を善女と呼ぶ。
 成長の後此の女能く酒を醸りぬ。酒甘美にしてくむとも、つきることなく、かつ病を治して寿域に至らしむ。四十六代孝謙天皇に奏し酒を献じ奉る。帝大いに賞し玉ひ勅ありて酒部の姓を賜ひ酒部黒麿と號す。神野郷を戸長と称する事は是酒を酌む人は、其の徳に依って寿命長久を得るの謂ならむか。
 善女、男子を産す。道隆の王と云ふ。又移りて良野の大堀と云ふ處に居住す。其の跡今に存ず。
(県神社誌より)
 又、伝説では、「昔、この神社に天から星が落ちてきて少女の姿になりました。子がいなかった黒麿は、この少女を天からの授かり物と喜び、大切に育てました。成人した少女は、境内の湧き水で甘美な酒を造り、この酒はとても美味しく、病人を治し、人を元気にさせました。又、この酒を帝に献上したところ大層お気に召され、黒麿は「酒部」の姓を名のる事を許されたという事です。」というお話が伝わっています。

社頭
入口左右に控える嘉永6年生まれの狛犬
阿は宝珠を付け口中には玉を含み、吽は角を付けています。前に乗り出すように蹲踞し、太めの胴に浪速型の尾を付けています。
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(嘉永6年(1853)9月吉日建立)
入口の明神鳥居
境内の様子
中央にひときわ高く聳えるのは樹高31m・胸高幹周6.7mの大杉です。
亀の台に乗った燈籠
日露戦役凱旋記念に奉納された水鉢
水鉢を支える四人の力士達
拝殿前の玉垣親柱上に乗る小さな狛犬
狛犬の拡大写真はこちらで
拝殿
拝殿内の様子
本殿
御祓場? 神楽殿?
磐座 御神木・大杉
国指定天然記念物・天川神社社叢
高木層にはスギの大樹をはじめ、アカマツ、クスノキ、ツブラジイ、シリブカガシ、タマミズキ、ヤマザクラ、イロハカエデなどが混生し、亜高木層、低木層には、イヌガシ、クロバイ、ナンテン、ジュズネノキ、リンボク、イズセンリョウなどがあります。その中では、シダ類やコケ類が生息しており、種類の豊富さは県下屈指を誇ります。