盛岡市安倍館南館(平成17年7月24日)
この稲荷社は盛岡駅の北北西約2.3q、北上川河畔に近い安倍館南館地区に鎮座しています。地名にも残っているとおり、ここは安倍の貞任・宗任などが住んでいた館跡で、ここであの前九年の役が繰り広げられたかと思うと、歴史ファンには興味の尽きない場所です。この安倍舘稲荷神社創建には悲しい伝説が残っています。貞任の女が源氏方に通じ、味方の不利を図ってしまいました。これを知った貞任は女を捕らえて、折檻したあげく生き埋めにしました。これを哀れんだ人々が後に稲荷社を建て冥福を祈った、というもので、哀しい女の性とそれを利用し自らの利益を得んとする男の狡猾さを如実に物語るお話です。又このお話には後日談もあり、その時の折檻は、ひたすら尻を打ったので、女の恨みがそばの田螺に宿り、ふたのない尻切れ田螺となって繁殖したという『尻切れ田螺』の伝承も今に伝えられています。
境内には稲荷の鳥居が続きます
目にも鮮やかな朱の社殿