宮村岩部(いそべ)神社

加賀市宮町ヌ-9-1(平成24年6月3日)

東経136度18分57.25秒、北緯36度20分13.14秒に鎮座。

 この神社は19号線に面して鎮座しています。入口には「式内 宮村岩部神社」と記された社号標と鳥居が立ち、境内の途中から石畳の参道。中央奥に狛犬が護る入母屋造りの拝殿、後ろに廻ると中門と、瑞垣(土塀)内に大木が見えます。6m四方程度の瑞垣に囲まれているこの塀内に本殿は無く、露座の自然石の御神体(磐座)が安置されているそうです。神の座である磐座が、いつしか神そのものとして崇められていった古信仰が残る、数少ない貴重な神社といえるようです。

 御祭神:宮村・(山へんに石)部大神
 祭礼日:9月25日
 由緒:創立年月不詳。式内社にあてられ、一郷崇敬の社。祭神不詳或いは天神と称し或いは櫛日方命と云う。磐境神座にして古来より本殿なく、現在瑞垣(土塀)を以て囲む。通称鳥居山遙拝所(加賀市宮町ソ29番地飛び地境内)は当社より16町余り距る高尾町にあって鳥居のみ存す。
(「石川県神社庁公式サイト」より)

 本殿は無く、磐境神座で、高さ一間の瑞垣(土塀)で囲まれている中に御神体が安置されている。
 明治13年の神社明細帳には祭神を「不詳、或ハ天神ト称シ、或ハ櫛日方命ト云」とある。
 江戸期『三州奇談』に「草鞋(とびかみ)大王の社有りて群集夥し。都て病願不叶と云ふ事なく、或は久しき聾も耳忽ちに聞え、盲目の明くを得る者あり。難病限りなく直り、近國遠村人押合ひて参る程に、田畠の間の道四條五條の大路の如し。其參る処の神は、森の中にして大木の二股或る中に挟まれたる巨石なり。」とある。
 社殿を造ると雷鳴が起つたという伝えがあり、露座の自然石を御神体として、雨をお願いするというのは、農業を主とした日本古代信仰の原始的な姿がここにあるように思われる。
(「延喜式神社の調査」より)

社頭
神社入口
社号標
「式内 宮村岩部神社」
入口に立つ台輪鳥居
境内の様子
参道の様子
拝殿前、明治26年生まれの狛犬
阿吽の位置が反対で、肉厚の垂れ耳でやや上向きの顔。装飾的でボリューム感が有る鬣や尾。この地域の狛犬の特徴が見られる、チョコッと見える牙がキュートな狛犬です。
狛犬の拡大写真はこちらで
(明治26年(1893)建立)
入母屋造りの拝殿
中門
瑞垣(土塀)で囲まれているこの中に本殿は無く、露座の自然石の御神体(磐座)が安置されているそうです。
境内から入口を振り返る