鹿島神社

加賀市塩屋町ホ(平成24年6月3日)

東経136度15分07.16秒、北緯36度17分22.75秒に鎮座。

 この神社は北潟湖が北端で大聖寺川に流れ出すその合流点の小丘上に鎮座しています。ここは元々小島だったそうですが、現在は陸続きとなっています。北潟湖対岸の吉崎御坊付近からも良く見えるこの社の鎮守の杜は、標高30m・周囲600mあり、文部大臣指定天然記念物「鹿島の森」と呼ばれる、加賀では唯一の暖帯常緑樹林帯です。タブ・シイ・ツバキ・ニッケイなどの照葉樹が、数百年来る伐採されずに残る天然の貴重な財産となっています。
 神社の入口がある東側に靖国鳥居や案内板があり、西の小丘上に向かって参道が付けられていますが、石段の参道と平坦な参道がゆっくりと歩いて約10分ほど、鬱蒼とした照葉樹林の中を交互に続き、境内へと行き着きます。その間足許には陸生のカニ「アカテガニ」が動き回っており、幼き頃カニを探して遊び回っていた記憶が懐かしく蘇ってきました。
 境内入口には五重石塔が建ち、境内左には慰霊碑、右側に横向ききに入母屋造りの拝殿と本殿が建立されています。
 のんびりとした散策気分と、その割には深山幽谷に踏み行った満足感が同時に味わえる、貴重な経験が出来る素晴らしい神社でした。

 御祭神:武甕槌命
 祭礼日:不明
 由緒:鹿嶋明神縁起抄
 抑も当社本殿に鎮座し給う宮柱は遠く千早振る神代の昔天津風八重雲別けて高天原より天降りましませし武甕槌命なり
 謹て其由緒を案するに人皇第二十六代継体天皇治績を越路に垂れ給ふや一時行在を千歳峯に定め給ひ白砂江風海波萬頃の間紫緑鬱蒼として神代の翠色滴らんとする此島の光景を慈眼はしましまして之れ大八洲無類の絶勝なれは宜く伝えて萬代の霊地たらしめんとの宸慮を以て直に常陸國鹿嶋に在る鹿嶋明神を勧請し奉り此島を鹿嶋と称し明神を安置し給ひて永へに御武運長久を祈り給ひし勅願所なり謹謹
 実に此明神は國史の示すか如く畏くも
天照大神の神勅を稟けさせられ意気■(りっしんべんに亢)概天闕を辞して下降し給ひ武勇絶倫克く天孫を■(にんべんに老)翼し不奉仕國々を風靡せしめ皇土開國の偉勲を建て給ひし神州最古の武神なり由来日出處國武勇の萬邦に冠絶せるは偏へに此明神慰霊の加護したまう處なれは我等日東民族たらんもの旦夕尊仰念々崇敬を怠りてやはあるへき
 故に参拝者は先つ身心を齋戒し恐惶虔粛畏み畏みて神境に入るへし若し夫礼不浄の輩霊域を汚穢し神木を毀損し神威を憚らさる不敬の所行あらんものは霊験忽ち到り神罰覿面たるへきものなり

社頭
参道入口に立つ靖国鳥居
鳥居に掛かる額 文部大臣指定天然記念物鹿島の森」碑
参道の様子
石段参道入口
石段参道入口にいる建立年代不明の狛犬
ガッチリとした体つきの彫りの深い狛犬ですが、にこやかで愛嬌のある顔つきをしています。森の木々の下、苔生していて貫禄十分ですね。
狛犬の拡大写真はこちらで
石段参道は西に向かい一旦平らな遊歩道になりますが、北西角から南東小丘上に鎮座する神社に向かい、又石段を上がっていきます。その石段途中には、案内にあるように、爪が真っ赤な「アカテガニ」がカサコソと音を立てて落ち葉の間を動き回っていました。尾根に出ると又殆ど平坦地となり、薮椿やスダジイの鬱蒼とした森の中を境内へと向かいます。
境内入口
境内の様子
入母屋造りの拝殿
本殿

五重石塔 慰霊碑
ご神木・タブノキ

 
鹿島の森下部
鹿島の森最上部
参道や境内を動き回っていた「アカテガニ」
 

境内入口北の「大聖寺川」の様子