西宮戎神社

西宮市社家町1-17(平成14年10月7日)

この西宮神社は全国にある恵比須神社の総本社である。恵比須サマといえば商売の神様。ところが、今でこそは七福神として福の神、商売の神様であるが、ここまで至るにはなかなかの紆余曲折があったりする。かなりの訳ありである。
 この恵比須サマ、イザナギ・イザナミの最初のお子様なのである。名前は蛭子尊。ところが、この子は三歳になっても立つことの出来ない不具の子供だった。そこで、イザナギ・イザナミは船に乗せて流してしまったという。古事記や日本書紀では後のことは書かれていないが、実は西宮に流れ着き、地元の人が育てて、西宮神社に祭った。これが西宮神社の起源だそうだ。
 一方、エビスという言葉は、元々「海の向こうからやってくる異邦人」や「海から流れ着いたもの」という意味があり、海辺では流れ着いたモノ(魚の死骸や水死体まで!)をエビスといって祭るところがある。また、エビス銭という言葉もあるようにエビスという言葉には「奇異なもの」という意味もある。というわけで、蛭子と恵比須が同一視されるに至った、というわけらしい。
 さて、ここまでではまだ商売には行きつかないが、あとは簡単。元々海の神様ということと、商売として海運業が発達してきたという経緯から商売の神としても祭られるようになった、ということである。
 現在のイメージとしては魚釣りをしている姿だが、これはもうひと柱の神様が関わってくる。蛭子尊が流れ着いた西宮では夷三郎(えびすさぶろう)と名づけたらしいのだが、この三郎とは大国主命の息子である事代主命のことであり、事代主命が遊行して釣りをした、という故事による。
 恵比須信仰にはエビス回しと呼ばれる傀儡師が一役買っていて、全国に広めたそうである。そして、このエビス回しが人形浄瑠璃の起源で、西宮神社は芸能にもご利益があるそうだ。
 とまあ、かなり身近な神様だが、その由来も事情もかなり複雑なのである。

拝殿

本殿

ブロンズの狛犬、小顔で九尾の狐の様な尾を持っている。吽は角付き