岩神稲荷神社

前橋市昭和町3-29-6 (平成23年5月28日)

東経139度3分44.09秒、北緯36度24分10.36秒に鎮座。

この神社は、前橋市役所の北1.6km程の辺り、群馬大医学区部の西側交差点角に鎮座しております。現在は「岩神の飛石」と呼ばれる巨石は嘗てズバリ「石上」と呼ばれ崇拝の対象であった様です。今もここよりすぐ西側に石神町があります。ここも石神町であったと思われます。この地に酒井河内守重忠公が稲荷大神を勧請し「岩神稲荷神社」と称したという事です。

国指定天然記念物 岩神の飛石
周囲が約60m、高さは地表に露出した部分だけで9.65m、さらに地表下に数mは埋もれているこの大きな岩は、「岩神の飛石」と呼ばれています。昔、石工がノミをあてたところ、血が流れ出したという伝説があります。岩は赤褐色の火山岩で、地表には縞のような構造も見えます。しかし大きさのそろった角ばった火山起源の岩や石が多い部分もあります。この岩は火口から溶岩として流れ出したものではなく、火口から噴出した高温の火山岩や火山灰などが冷えて固まってできたものと考えられます。
この地点より約8km上流の坂東橋の近くの利根川ぞいの崖では、10万年以上も前に赤城山の山崩れでできた厚い地層の中に同じ岩が認められます。このことから、この岩は赤城火山の上半部が無くなるほどの大規模な山崩れに由来することがわかります。さて前橋の街の地下には、「前橋泥流」と呼ばれる地層が厚く堆積しています。これは約2万年前に浅間山で起こった山崩れが、水を含んで火山泥流に変化して流れてできた地層です。この地層の中にも、岩神の飛石と同じような石が多く含まれています。またここは火山泥流の堆積後、平安時代以前までの間に、利根川が流れていたところでもあります。
これらのことから、この岩は現在の坂東橋のあたりの堆積していた地層の中から、約2万年前の火山泥流によりこの近くまで押し流されてきたものと思われます。さらにその後の利根川の洪水によって、今の場所まで運ばれてきたと考えられます。岩神の飛石は、私たちに前橋とその周辺の自然の歴史とその営みを教えてくれます。
文化庁・群馬県教育委員会・前橋市教育委員会 原文はこちら。

神社全景

社号標と鳥居

拝殿

本殿

社殿裏の「岩神の飛石」。本当は流されて来たようです。

稲荷の石祠

御神木