樹齢500年の大杉切断 倒木の恐れに神社決断。
この記事は、2008年09月11日 06時10分配信。
本文の始まり。
 福島市渡利の春日神社境内で8日から10日にかけて、樹齢約500年の大杉の上半分を切断する作業が行われた。老化して倒れる恐れが出たため、所有する神社が安全を考え切断を決めた。市の文化財に指定され、地元で長年慕われてきた神木だけに、大勢の市民が作業を見守った。

 大杉は高さ約30メートル、幹回り約6.2メートル。1962年、市の指定文化財になった。近くの幼稚園に通う園児の散歩コースや、周辺住民の憩いの場として親しまれてきた。

 4月上旬、住民から「大杉がギシギシと音を立てている」との連絡が市にあった。調査した市は、根元から上に向かって数メートルの亀裂を確認。空洞化の形跡も見られたため、春日神社と神社総代会で対策を話し合った。

 周囲にポールを立て、ひもでつるして保存する案も出たが、「参拝者や住民の安全が第一」(三井至映宮司)として、危険性の低い下半分を残して切断することにした。

 先月、文化財指定を解除。8日に着手した切断作業では、クレーンに乗った業者がチェーンソーで大杉の上部約20メートルを切り落としていった。様子を見守った春日神社総代会の菅野勝雄会長(78)は「渡利地区のシンボルがなくなってしまうようで寂しいね」とつぶやいた。

 切断された大杉は、切断面に薬剤を塗って空洞をふさぐ処置を施した。切り離された上部は、お札や元朝参りで燃やすたいまつの燃料に使う案も出ている。菅野さんは、すっかり短くなった大木を眺めながら「ご神木であることに変わりはない。なお大切にしていきたい」と語った。
本文の終わり。