神明神社

坂井市三国町神明2-2-10(平成24年6月1日)

東経136度8分54秒、北緯36度12分54.88秒に鎮座。

 この神社は三国港駅の東南東約500m、九頭竜川河口近くに鎮座しています。
 境内入口は南側にあり、入口左には三国祭で使用される四の部地区山車蔵が建てられています。入口に立つ鳥居は、貫が貫通していないのが特徴の珍しい中山鳥居。手水舎、駐車場を右に見て参道を進むと、境内の入口からやや西に参道が曲がり正面に太めの笏谷狛犬が護る唐破風付き妻入りの拝殿。その後方に、立派な中門があり、透かし塀に囲まれて神明造の本殿が建立されています。そして、本殿前にも出雲狛犬が居ました。
 社殿の左手に、境内社・味坂神社と合社。その中間に神楽殿が建立されており、それぞれの境内社には、素晴らしい狛犬が待っていてくれました。狛犬好きには見逃せない神社です。又、境内東北隅に、境内社・辰巳川神社が祀られています。
 市街地の中に鎮座する神社ですが緑が濃く、丁寧な祀り方で、良く整備清掃されており、とても気持ちの良い参拝が出来ました。

 御祭神:天照大神、男大迹王(継体天皇)
 祭礼日:9月16日
 境内社:合社(比古那神社、金刀比羅神社、稲荷神社、八幡神社、大玉神社)、辰巳(巽)川神社、味坂神社
 由緒:本神社は天照大神と継体天皇を奉斎しています。男大迹王(継体天皇)は河川(九頭竜川・足羽川・日野川)開拓のおり、枚岡を行在所としました。王が越前を離れた後、国民がその徳を偲び旧行在所に遷座して「枚岡神社」と称号したといわれていました。
 十六世紀後末に「神明社」に改称した。(「境内案内」より)

 「境内案内」には上記の様に簡単な由緒が記されていますが、公式サイト「MEB大湊神社」には
 『社伝に往昔、越前国坂井郡坂井港字日和山に鎮座していた。坂井港は、三国浦・滝谷町・金鑄・道實嶋・平野・滝谷村と区別される。その日和山に鎮座の頃、天照皇太御神を一邑の産土神(雑学「氏神・産土神・鎮守神」参照)として、仰ぎ尊み奉っていた。ところが、男大迹皇子(継体天皇)が、当地旧字、枚岡という所に潜龍の時、国中水理の疎通せざるを憂い、常に国民を恤み給うて、三大河(日野川・九頭竜川・足羽川)を開拓し、西北銚子口へ疎通せしめられた。そこで、皇子は、枚岡を行在所となした。今に残る清王・清王畑・瀬井地名はこの故事によるものという。皇子が、皇嗣となり高志を離れられた後、潜龍時代の御徳をしのび奉って、産土神社に合祀し旧行在所に遷座して、枚岡神社称号していたという。(確證はなし)
 天正年中(1573〜1591)織田信長の兵火を罹り、社殿・神器及び旧記等のほとんどが焼失し、社領も没収された。このころ社名を神明社と改称し、以来近傍町村八ヶ所の氏神総社として崇敬された。然るに、明治四年、近郷十八ケ村の郷社に列せられた。同九年、敦賀県より郷社廃止に伴い、村社に、更に明治十三年八月一日、郷社に再び列せられた。同四十一年四月二十六日、神饌幣帛料供進神社に指定された。また、昭和三年、氏子鳥野氏が、個人の寄進によって、神明造御本殿・神饌所・神楽殿等を新築、その経費は約三万円であった。なお、現在は合併合祀されたと思われる境内社の比古奈神社(祭神、比古奈命)は、社伝では式内「比古奈神社」に比定するが、確證はない。
 また、神明社自体も、式内「枚岡神社」の論社の一社として知られる。式内枚岡神社の論社は、福井市、足羽神社の旧境内社、三国町北本町、氷川神社がある。神明社を 式内「枚岡神社」とするのは、社伝・明細帳のほかにも、『明治神社誌料』にも「延喜式神名帳に枚岡神社、同考證などにも記されたり」と述べている。
 しかし、この神明社が拝殿・玉垣などの神社の体裁を備えるようになったのは江戸時代中期、元文年間(1636-1640)であって、それまでは氏子崇敬者の篤い崇敬を受けていたものの堂社のようなものであった。当時すでに三国の桜谷社(現、三国神社)とあい並んで、いわば滝谷の桜谷社として信仰されていた。性海寺が桜谷社の別当寺であったのと同様、神明社の別当職は滝谷寺竜泉院の預かるところであった。(慶長三(1598)年、竜泉院に下附された神明社地免状に拠る)』
と丁寧な由緒・考察が記されてあります。

神社入口 社号標
入口左に建てられている四の部地区山車蔵
入口に立つ珍しい中山鳥居
参道と境内入口
境内の様子
拝殿軒下にいる小太りな笏谷狛犬
顔つきは笏谷ですが、こんなにメタボな姿をした笏谷は珍しいのではないでしょうか?縦置きで阿吽の位置が反対。おかっぱは縦ロールで柔らかくカールが付けられており、並んだ平歯からチョコッと覗く可愛い牙が、チャームポイントです。
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唐破風付き妻入りの拝殿
拝殿内の様子
中門と左右翼殿
本殿前に居る出雲狛犬
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透かし塀と神明造りの本殿

境内社:味坂神社(薬師如来)
味坂神社軒下にいる笏谷狛犬
吽には小さな角がありますが、こちらは典型的な笏谷の顔つき・姿をしています。
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境内社:合社入口に立つ台輪鳥居と額
合社境内の様子
合社社殿前にいる縦置きの狛犬
やや風化による磨耗が見られますが、顔つき、姿、共に申し分ない、威厳と風格を漂わせた、素晴らしい狛犬です。
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合社社殿
比古那神社(少比古那命)、金刀比羅神社(大国主命)、稲荷神社(豊受姫神)、八幡神社(応神天皇)、大玉神社(聖徳太子)の合社なのでしょうか?
境内社:辰巳(巽)川神社(日本武尊)

神楽殿