高雄神社

福井市本堂町5-10(平成20年11月3日)

東経136度8分12.74秒、北緯36度3分28.65秒に鎮座。

 この神社は安居中学校西に鎮座しています。背後はなだらかな山容で、境内には杉、アベマキ、栂(つが)等の大木が聳え立つ鎮守の杜が形成されている、とても景色の良い清々しい神社でした。特筆すべきは薬師堂を護る寛永2年(1625)建立の狛犬で、この年代の狛犬としては他に追従を許さないほどの作風・形式・独創性を持つ素晴らしい物でした。
 ぐるっと玉垣に囲まれた境内入口には台輪鳥居が建ち、広々とした境内には数本の杉、アベマキが聳えています。その境内左手には注連縄の張られた磐座?があり、境内奥の灯籠には今にも落ちそうな形で狛犬が縋り付いています。
 参道奥の境内中央から石段を上がると正面に高雄大権現(伊弉册尊、天忍穂耳尊、大己貴命=本地・十一面観世音菩薩、聖観世音菩薩、阿弥陀仏)、その左側には寛永2年(1625)建立の狛犬が護る薬師堂(大国主命、春日明神、応神天皇=本地・薬師如来、釈迦如来、男神)、高雄大権現右には宵宮(猿田彦大神、天細女命)、宵宮と宵松橋で繋がれた松谷の宮(観音堂)(伊弉册尊=本地・聖観世音菩薩)の4社殿が建ち、松谷の宮手前には正応3年(1290)建立の笏谷石製七重塔が建っています。又、宵松橋傍には藤の蔦を巻きつけながらそびえたつ樹齢約500年の栂の大木も聳えています。
 佇まいの素晴らしさと共に境内の清掃も行き届き、とても気持ちの良い参拝が出来る素敵な神社でした。

 御祭神:高雄大権現(伊弉册尊、天忍穂耳尊、大己貴命)、猿田彦大神、天細女命、春日明神、応神天皇
 祭礼日:10月9・10日(お獅子渡御)
 境内社:宵宮、薬師堂、松谷の宮(観音堂)
 由緒:高雄大権現(伊弉册尊、天忍穂耳尊、大己貴命=本地・十一面観世音菩薩、聖観世音菩薩、阿弥陀仏)、宵宮(猿田彦大神、天細女命)、松谷の宮(観音堂)(伊弉册尊=本地・聖観世音菩薩)、薬師堂(大国主命、春日明神、応神天皇=本地・薬師如来、釈迦如来、男神)の4社は、元々各字にありましたが明治41年に合祀されました。
 それぞれの本地仏は高雄大権現略縁起によると、養老元年(717)に高雄山上で36才の泰澄大師が一刀三礼して彫刻されたと伝えられています。
 宵宮の行事である「お獅子渡御」の由来は、昔、人身御供の幼児を食べていた怪物が、村民を悲しみのどん底に落としていましたが、猿田彦命(一説にはその子孫の武士)天細女命がこの怪物を退治された恩に報い、功を称えて二神をお祀りしたことに始まると云われています。当日は大鳥居の前に、高雄大権現と南無薬師如来の幟が高くはためき、夜昼二回のお獅子渡りには、猿田彦大神、天細女命と書かれた大提灯が続き、約800m離れたお旅所の「待手の宮」へお渡りし、そこで一夜を過ごし、翌日本宮へ帰られ神事が終わるそうです。

「参拝のしおり」はこちらで

道路脇に建っている二基の社号標 神社遠景
 
神社入口
境内の様子 磐座?
境内にいる昭和18年生まれの岡崎現代型狛犬
(昭和18年(1943)建立)
境内に建つ昭和16年建立の灯籠には狛犬が縋り付いています。
(昭和16年(1941)11月21日建立)
高雄大権現 社殿全景
高雄大権現拝殿
高雄大権現 本殿覆い屋と本殿正面
境内社:薬師堂 入り口と社殿

薬師堂を護る寛永2年(1625)建立の狛犬
このサイトに載っている石造狛犬の中では8番目に古い狛犬です。案内にも有るとおり、この時代の狛犬としては格段に表現力が高く装飾性に優れています。この狛犬の素材である笏谷石は脆く、阿には補修の跡が見られますが、このまま放置しておくと尚いっそう剥落などの損傷が心配されます。文化財に指定されていないのが不思議なほどの素晴らしい狛犬です、簡単な屋根を付けることでも随分と違いますから、関係者の方に御一考をお願いしたいなぁ〜…と夫と話しています。
狛犬の拡大写真はこちらで
(寛永2年(1625)建立)
末社


六地蔵燈籠
 
境内社入口 台輪鳥居 仙人?を乗せた龍の口から
お水が出ている手水
境内社:宵宮 宵宮と松谷の宮を繋ぐ宵松橋
正応3年(1290)建立の七重塔 境内社:松谷の宮(観音堂)
樹齢約500年の栂(つが)の大木 樹齢約200年のアベマキ